出版社内容情報
日本の農業改革と直結する、フードシステムを見つめなおすノンフィクション。
大規模単一栽培農業と決別した有機農家たちが選んだ道は――レンズ豆。
農薬・除草剤の利用や作付けで与えられる国の補助金に依存し、超保守的な風土の中で農業が行われるモンタナ州。大量の化学薬品に支えられた大規模農業は、土壌と農家を疲弊させていた。畑を生き返らせたのは、小さなレンズ豆だった。
化学薬品と国家に頼る工業型の現代農業に異を唱える農家が立ち上げた販売商社「タイムレス・シーズ」を中心に、土壌を癒し、自立した農家を守り、米国に食べ物の革命を起こしたユニークな農民たちの闘いを描く。
日本の農業改革と直結する、フードシステムを見つめなおすノンフィクション。
はじめに
プロローグ
?T 肥沃な大地
第1章 帰郷
第2章 穀物への抵抗
茶色の黄金/有終の美/自分でやるしかない/緑肥
?U 変化の種──平原の新入り作物
第3章 奇跡の植物
マメ科のカウボーイ/良心的な大工/生きるか死ぬかの一大事/栽培農家たち
第4章 しっかりと根を下ろして
ガラクタ置き場の哲学者/草の根のパワー/政治的なルーツ/法律、教育、協調
第5章 隠密調査と農民科学
自分の目で確かめる/試行錯誤の連続/マメ科アノニマス/ローン・レンジャーとドリトル先生/農家を食べさせているのは誰?
?V タイムレス、大人になる
第6章 食べられる種
レンズ豆の共同集積所/フェア・エクスチェンジ
第7章 一三六トンのレンズ豆
不承不承の起業/儲かる商品/在庫を抱えて
第8章 キャビア入りの飼料──ブラック・ベルーガの台頭
変わり種/レンズ豆、脚光を浴びる
?W 革命の機は熟した──運動の本格化
第9章 宗旨替え
土に食べさせる/農場が元気になった/体制を揺るがす/いつか来た道/モンタナ流ミルパ 第10章 セントラル・モンタナの有名人
農場の更生/フォートベントンの風来坊/「クスリは完全にはやめられない」/数字が物を言う
第11章 博士号と小さな秘密
片道四〇〇キロの通勤路/粉末の亜麻とエンドウの加工/リスクの共有/創造的な投資/「農業は禁じられたビジネス」/ルンペルシュティルツキン問題/レンズ豆探偵/カバークロップの対費用効果/自然任せのエコシステム/「農業は立派な職業」/銀行と哲学者/農民のための大学院
第12章 レンズ豆の福音
ブラック・ベルーガと聖書の物語/根圏に問題あり/「近所の人にも買える値段」
第13章 ミツバチと官僚制度──送粉者に関する講習会での政治的駆け引き
不耕起栽培の代償
第14章 雑草からホワイトハウスへ
「声を上げなきゃいけない」/大きな白いコンバイン/「アメリカは文明国じゃない」/医療保険と農業/厄介の種/我々は環境の一部である/「政府とは張り合えない」
?X 収穫
第15章 正念場
第16章 次の世代
「ほとんど野生の土地」
第17章 過去、そして未来
生まれつきオーガニック/地球の豊かさのすべて/地球に優しい経歴/「一人じゃできない」/地元を超えて
エピローグ
用語集
情報源について
参考文献
訳者あとがき
【著者紹介】
リズ・カーライル(Liz Carlisle)モンタナ州ミズーラ生まれ。米国有機農業研究の中心、カリフォルニア州立大学のバークレー校「多様性農業システムセンター」の研究員。地理学の博士号を同校で取得したほか、ハーヴァード大学の学士号も持つ。カントリーミュージックの歌手として全米を巡業し、またモンタナ州の有機農家でもあるアメリカ上院議員ジョン・テスターの立法補佐官を務めた経験がある。
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