プリズン・ボーイズ―奇跡の作文教室

プリズン・ボーイズ―奇跡の作文教室

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 365p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784806713173
  • NDC分類 936
  • Cコード C0095

内容説明

創作に行きづまり、ひょんなことから少年院で作文を教えることになった作家を待ち受けていたものは?殺人や強盗を犯した少年たちとの向き合い方に苦悩しながらも、少年院に通うことが楽しくなっていく作家。作文でしだいに心が解き放たれていく少年たち。重い判決を言いわたされて去っていく少年たちを、ただ見ていることしかできないのか…。ロサンゼルスの重罪少年院で感動の人間ドラマが繰り広げられる!ロサンゼルスの少年院の作文教室を舞台にした感動の人間ドラマ。

目次

世界でただひとりの人間
いやだと言うんだ
紳士諸君
博物館へ出かける
衝突
おれはここにいる
監禁
夢の境地
プリズナーかパンプキンか
母の日〔ほか〕

著者等紹介

サルツマン,マーク[サルツマン,マーク][Salzman,Mark]
1959年、米国コネチカット州生まれ。子どものころから中国拳法に興味を持ち始め、カンフーマスターになることを夢見る。その一方で、チェロの才能が認められて十六歳でエール大学に入学を許可される。だが、すぐに学部を変更し、中国語と中国哲学を選択。その後、二年間にわたり中国に滞在し、湖南省医学学校で英語を教えるかたわら、憧れの本場で中国拳法を学ぶ。そのときの経験をもとに、1986年に第一作目のノンフィクション“Iron and Silk”を出版し、クリストファー賞を受賞、またピュリッツァー賞の最終選考まで残る。チェロはプロ級で、1996年のバレンタイン・デーには、世界的なチェリスト、ヨーヨーマと、ピアニストのエマニュエル・アックスの公演に、ゲストチェリストとして招かれて演奏し、その模様は「リンカーン・センターからのライブ」として全国ネットのテレビで放映された。ロサンゼルス郊外に、映画制作者の妻、ジェシカ・ユーと、娘のエイヴァと暮らす

三輪妙子[ミワタエコ]
1951年、東京生まれ。1974年から1980年までカナダのバンクーバーに暮らし、エコロジーや女性の運動にかかわる。その後、日本に戻り、故高木仁三郎氏主宰の原子力資料情報室で英文ニュースなどを担当。十年前からはカナダの山奥の村に住まいを構え、日本と行ったり来たりする生活を続けながら、翻訳や通訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みも

27
作家である著者が、ボランティアとして少年院で開催する作文教室の活動を、起承転結無しで淡々と記述するノンフィクション。少年達の個性も分かり難い為、変化に乏しく読み物としての面白みは薄い。ただ、叙述の合間に挿入される少年達の作文は、純粋で率直さに溢れ心を揺さぶられる。非道な犯罪者になってしまった少年達ではあるが、母への思慕、父への憧憬と共に孤独感が哀切を呼び起こす。作文クラスの優等生ケビンの運命を決する残酷な法廷で、白日の下に曝されるのは殺害された被害少年の絶対的な存在感であり、取り返しのつかない現実である。2016/09/09

まるる

9
小説家である著者が、少年院で作文を教えるボランティアをした時の記録。著者は特に作文の技術を教えたりするわけではない。生徒が書いたものを皆の前で読んでもらう、それだけだ。しかし自身を表現することを大人から求められること、自分の心や体験を文章化すること、それを他者に伝えること、他者の考えを文章を通して知ること、そして自分の書いたものを尊重してくれる大人がいること。その全てが少年院の少年たちにとっては、いやどんな子供たちにも必要な、必要だった体験だ。 2020/07/05

2
自分の気持ちを文章にして、みんなの前で朗読する。それだけのことだけど、「暴力」でしか自分を表現することが出来なかった少年達にとって、「書くこと」はすごく新鮮で、皆と感情を共有できる方法でもあり、自分を見つめなおす手段でもあり・・・筆者と少年達との心の交流も良かった。今でも作文コースやってるんだろうか?2010/01/30

菱沼

1
奈良少年刑務所の少年たちの詩集『空が青いから白をえらんだのです』を思い起こした。表題となっている詩は、死んでしまった母親のことを思う少年が書いたもの。『プリズン・ボーイズ』にも、一人の少年が雲のことを綴った文が載っていた。閉じ込められた少年たちは空を見上げる。空は自由の象徴なのかもしれない。『空が…』でも、この作品でも、文学の持つ力を感じる。書くために考える。言葉を探す。紙の上に表わす。それらが全て、自分のことを考え、自分の内奥を探し、自分の気持を表現することにつながっていく。2020/12/13

薫風堂

1
少年院での作文教室の記録。判決や将来への不安、家族への想い、後悔…重罪に問われている少年たちが綴る文章は、圧倒的な力を持っている。文章の技術ではない。厳しい状況下、自分自身に真摯に向き合って綴られた言葉の鮮烈さ。見逃せないのは、それを可能にした著者の在り方。本書は、迷いながら生徒に向き合う著者の姿勢も正直に描かれている。書く技術や新たな語彙を教えるのではなく、真摯に「言葉の受け手」として臨む著者。そんな存在を得て少年たちの本気の言葉がある。普段から「受け手」がいたなら…はたして彼らは罪は犯したのだろうか。2011/08/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/68933
  • ご注意事項

最近チェックした商品