出版社内容情報
この一冊で、量子論、生命科学、複雑系から意識研究の最前線までがわかる。
世界を変えた頭脳たちは、20世紀の科学をどのように考え、21世紀の科学をどこへ導こうとしているのか。
世界をリードする科学者へのインタビューをまじえ、科学ジャーナリストがむずかしいことをわかりやすい言葉で解説する。
【書評再録】
●東京新聞評(1999年10月3日)=意識研究に踏み込んだ科学者たちが何をどう考えたのかを追いながら、量子論・相対性理論・還元主義から非線形・複雑系へと、古典力学の決定論的世界像を覆した20世紀科学の本質をわかりやすく絵解きする。
●毎日新聞評(1999年9月26日)=科学の最先端に興味を持ち、自分の疑問を軸に謎に迫り、不思議の国をさまようというタイプの本。
●信濃毎日新聞、北日本新聞ほか評(1999年10月24日より)=インタビューを交えた思索の旅は、次第に今世紀の科学の流れとその限界を浮き彫りにする。科学書のよき指南書にもなっている。
●サイアス評(1999年12月号)=良質の意識研究入門書として、非科学者だけでなく、意識に興味はあるがその道の専門家ではない(ぼくのような)研究者たちにも、とても重宝がられるにちがいない。
【読者の声】
■女性(52歳)=書評の中の「とりわけ科学オンチの方にお薦め」の一語に引かれ読んでみたところ、大変面白かったです。心理学関係には以前より興味をもっていますが、それと科学がこのように「近い」感じで語られていたことに、意外性がありながら、今までより「科学」に親しさを覚えるようになりました。
【内容紹介】本書「序文---ノーベル賞科学者「その後」の群像(下條信輔・カリフォルニア工科大学教授)」より
ノーベル賞を受賞した科学者のアタマの中はどうなっているのか。誰でも興味があるところだろう。科学にとくに関心のない人々ほど、科学史上の大発見をとげた人々の思考の中身がよりミステリアスに思われ、かえって興味をひかれるかもしれない。
「ノーベル賞受賞者は、ときとして哲学的、宗教的な話題や超心理学にさえのめりこむことがある。偉大な科学的知性の持ち主のはずなのに、これはどうしたことか」。そういうややミーハー的ともいえる関心から入って、直感的で説得力のあるかたちで科学の過去と未来を照射する地点に、着地してみせた。この点こそが、この本のもっともユニークな功績である。
結果として、現代的で平易でいきいきとした、科学論らしからぬ科学論に仕上がった。新聞記者としての経験を生かしたインタビューと豊富な取材を交え、科学者の体から発散されるオーラや人間的な臭みが折にふれて活写される。相対性理論、量子論、複雑系、そして意識研究の最前線まで踏み込みながら、現代科学の普遍的な問題を、ぬかりなく指摘している。
科学になじみの薄い読者でも、人生と科学的データのつながり、科学と社会の関係を、温もりのあるかたちで実感できるのではないか。多くの人々に(とりわけ科学オンチ、科学嫌いを自認する人々に)お勧めしたい。
【主要目次】
▲▲プロローグ
DNAから心へ/超電導から心霊現象へ
▲▲第1章・20世紀の科学は何を発見したか
意識は感染する/ノーベル賞の季節/青天の霹靂/20世紀の科学の象徴/19世紀末の物理学/量子力学の誕生/素粒子の発見/物質から生命へ/還元主義の全盛/ほころびる絶対観
コラム(心理学は科学か/シュレディンガーの猫/巨大加速器の頓挫)
▲▲第2章・ノーベル賞から「意識」へ
物質から神秘主義へ(シュレディンガー)/脳から二元論へ(シェリントン)(エックルス)(スペリー)(ペンフィールド)/新しい物理を(ペンローズ)(ウィグナー)/科学から超心理学へ(カレル)
コラム(潜在記憶と顕在記憶/アインシュタインの脳)
▲▲第3章・哲学? いや科学で解こう
クリック--視覚の不思議がカギを握る/コッホとゾンビ/エーデルマン--免疫の仕組みをあてはめよう/利根川進博士--遺伝子でナゾを解く/
コラム(見えないのに見えている/注意が立ち上がるとき/同期発火する脳/サブリミナル・カット/ワーキングメモリーと意識/知覚的現在/さまざまな還元主義)
▲▲第4章・「機械は意識を持つか」論争
HALの誕生日/コンピュータは意識する/意識は解明済みだ/哲学者と意識/サールの中国語の部屋/チューリング・テスト/ペンローズの分類/正統派と人工知能/クオリア/むずかしい問題とやさしい問題
コラム(意識、心、精神/意識の階層/脳機能の局在/意識研究者の派閥)
▲▲第5章・還元主義に飽きたら複雑系へどうぞ
複雑系は科学か?/サンタフェ研究所/ゲルマンの不満/非線形から複雑系へ/新しい宗教?/複雑系とは何か/定義はしない/足し算してもわからない/適応する複雑系/新しい性質が創出する/時間の矢と歴史/熱力学第二法則/還元主義賛歌/アンチ還元主義/新聞記事になりにくい/第三の方法論/人工生命は生命か
コラム(ヒトゲノム計画/福井謙一先生/紙とエンピツと頭脳/暗黙知と複雑系/散逸する複雑系/東洋思想への傾倒/柳生新陰流と複雑系/理論家と実験家/意識は複雑だ)
▲▲第6章・ノーベル賞科学者が意識研究に走るわけ
もともと意識を研究したかった/むずかしいほど血が騒ぐ/ノーベル賞をとったから、リスクを冒してもいい/単純な還元主義で解けないものへの挑戦/何にでも興味がある/はやり/脳を見ても心はなかった/免疫学者が意識に走るわけ/物理で生物が解けたのだから、意識も解けるだろう/意識の神秘は量子論にあり/観測者が未来を変える/決定論への反感/反量子論/統一論の魅力/神秘主義と直感
コラム(グレーゾーン/解けない問題/日本人と一元論/湯川秀樹と朝永振一郎/)
内容説明
世界を変えた頭脳たちは20世紀の科学を、どのように考えたのか。21世紀の科学を、どこに導くのか。世界をリードする科学者へのインタビューをまじえ、科学ジャーナリストがむずかしいことをやさしく、この1冊に凝縮。
目次
1章 20世紀の科学は何を発見したか
2章 ノーベル賞から「意識」へ
3章 哲学?いや科学で解こう
4章 「機械は意識を持つか」論争
5章 還元主義に飽きたら複雑系へどうぞ
6章 ノーベル賞科学者が意識研究に走るわけ