内容説明
これが中部財界史の決定版!織田信長ゆずりの先見性と福沢諭吉の薫陶を受けて次々と生まれる新産業。清酒や陶磁器、自動車、零戦…。ものづくり王国を築いた原動力とは?八方ふさがりの困難にもめげず、時代を先取りし、道を切り開いた老舗企業家たちの、勇気と決断を描く。
目次
第1章 よみがえる松坂屋
第2章 電力の鬼
第3章 東海銀行の誕生
第4章 走りだす名鉄
第5章 陶磁器を世界へ
第6章 名古屋財界三派の興亡
第7章 醸造の里 知多
第8章 広がるものづくり
第9章 零戦から始まった
第10章 世界を見つめた真珠王
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koji
11
城山三郎「創意に生きる」に続く昭和、平成の中部財界史。中日新聞社が地元新聞の盟主の名に懸け渾身の力で取材しています。この2冊を読むと、中部の経営者は、①品質・信用への妥協しない一徹ぶり、②常に時流の先を読む視野の広さが見えてきます。多くのエピソードが語られますが、私には「零戦から始まった」が最も読み応えがありました。極限まで薄さを追求した故の零戦の悲劇、コスト高故撤退を余儀なくされたYS11。いずれも妥協しない信念故の失敗ですが、これを乗り越えてMRJが成功できるか。中部経営者のDNAに期待します 2018/08/18
Keizy-soze
6
夏休みの課題図書 中日新聞の特集連載をまとめたもの。 中部財界の巨人達のプロジェクトXが新聞らしく緻密に詳細に描かれている。 タイトルが豊田自動織機の始祖、豊田佐吉翁の 「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」 から取っているのが中部企業らしいモノづくりをはじめとした 精神を表している。 本書には松坂屋や東海銀行からミツカン、日本ガイシ、ブラザー、 そしてうちの会社も参画した零戦秘話なども詳しく紹介されてます。 東海で働く者として先人達の歴史を 知るには最適な本です。 細かいけど。2015/07/23
luther0801
6
中日新聞の連載が面白くて購入。説教臭さはあるが、丹念な取材が生々しさを感じて、とても面白かった。時代の差が有り、戦後の興隆期の話を美化している感はあるが、根本的に流れる思想は、中部財界だけでなく、どの世界にもあったのだろう。崇高な思想で、物事の真髄を見極め、ダイナミックな行動を起こしていくところは、夢があり、楽しく読めました。2014/10/14
Hisako Mi
2
中部発祥の企業といえば、トヨタ、ミツカン、ブラザー程度しか知らなかったのですが、敷島製パン、ココストアもあり、ノリタケからTOTOや日本ガイシが分社化したりと、中部発祥の企業が多いことに驚きました。三菱重工の航空機の開発話は戦争中の話も多く、また、全般的に明治から昭和初期の話も多いです。その後、今後、中部発祥で日本を支えそうな企業が思い当たらないのが残念ですが。。 全般的には、当時の話と後継者や子孫の話を載せつつ、広く浅く企業を紹介しているといった感じです。2018/09/30