感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フィリップ・まろ
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先日、三重県総合文化センターで佐佐木信綱顕彰歌会40周年記念の催しが開かれた。何よりも驚いたのは、信綱のその交友の広さ深さ。明治の元勲から文学士、芸術家と展示された書簡たるやそれだけでも一級の文学的価値が見出せるものばかりだった。佐佐木信綱の世界は日本の文化の世界であった。さて表題の本の著者は信綱の故郷、鈴鹿の城下町にあるお寺の元住職で、僕の茶道の師匠筋に当たる。地方の小都市に芽生え、生育する文化の魅力を余すところ無く書き連ねられている。この本を読んであらためてこの町の馥郁たる文化の香りを実感している。2012/04/03