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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えか
45
14世紀イタリア絵画、画師を支えていたのはキリスト教教会の祭壇画などであった。(註1)画師志望者はそれぞれの工房に弟子入りし、そのテクニックなどを学んでいった。当然、絵画の歴史はよりリアルに進化していく。(註2)しかし14世紀半ば、突如としてそのスタイルに変化が現れる。リアルな画風はなくなり、超越性、神秘性が絵に現れ(註3)、キリストは平信者を下に睨みつけ、絵の中の神父は実在よりも大きくなる(註4)。その中で教会の権威は強められた。(註5)なぜなのか。本書はその原因を考察する歴史書(註6)である。(註7)2025/08/12
mittsko
3
ボッカッチョのことが知りたくて読んだ(*'▽') が、それよりも何よりも、本書全体の論述の見事さに驚いてしまった。聞けば、美術史研究の代表作のひとつとのこと。豊かな教養と明晰な悟性に圧倒された。こういう水準こそ学術学芸の名にふさわしい! ⇒ 本書が扱うのは、1350年から75年まで、ペスト流行下のトスカーナ絵画(フィレンツェとシエナの宗教美術)。著者はそこに「きびしい緊張状態、その精神的軋轢と抑えた興奮」「宗教的興奮」を共通して見出し、それを美術史上の断絶と大転換と見る。2017/12/05