目次
第1部 導入編(歴史のニュータウン・明日のニュータウン―オーラル・ヒストリーへの時間軸;多摩ニュータウンにおける開発政策史研究の課題;多摩ニュータウンに見る東京都住宅政策の変容過程;まちづくりはソーシャル・キャピタルの形成からはじまる―学びから出発した2つのNPO法人;座談会:地域政策史におけるオーラル・ヒストリーの可能性)
第2部 証言編(都市計画の潮流と多摩ニュータウン;立地政策から見た国土開発と都市政策;戦後住宅開発計画思想の履歴;東京都政から見た多摩ニュータウン事業;多摩市政20年の当事者として;用地提供者の開発利益)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
7
片寄俊秀『実験都市』は千里ニュータウンを取り上げたが、こちらは多摩ニュータウンの形成史を扱ふ。オーラル・ヒストリーの手法により、国の都市計画、立地政策、住宅開発、都政、多摩市政、用地提供者(旧住民)の各々の関係者に聞き取りがなされてゐる。第1部が導入編、第2部が証言編なのだが、会話体であるためか第2部がすこぶる面白く読みやすい。聞き取り相手の人選の巧みさもあるが、日本の都市計画人脈の流れやNAU(新日本建築家集団)とその遺伝子について、都政の課題としての「多摩地域」など、前提や背景の部分も示唆に富む。2017/03/21
なかち
3
65年に計画開始、71年に入居開始。住宅不足とスプロール防止が目的。74年まで電車がなく、「陸の孤島」と呼ばれた。利益の配分をどうするかでモメる美濃部都政。美濃部は40万人のベッドタウンを構想、シビルミニマムにこだわる。緑の面積も決められた。職住近接は上手くいかず。バブルが弾けて人気低落。06年に開発終了。多摩地域はNPOが多い(自主的なコミュニティ形成)。都市計画の潮流は英の住宅地開発、独の区画整理、米のゾーニング。多摩ニュータウンのルーツは所得倍増計画。新日本建築家集団。シビルミニマムは2DK論。2011/07/15
そ吉
2
多摩ニュータウンの開発費初期に関わった様々な立場の人々から話を聞き史料として纏めようとする努力が感じられる労作である。 個人的には、開発により生活環境や意識の変わった地元の人々の声を聞きたかった。 行政や地元政治家としての役割にて記憶する史実とそこで生活する人の意識の差を対比させながら読んでみたいと思った。★★★☆☆2022/03/10