内容説明
ヘルマン・ヘラーはハイデッガーに対置されるような思想家ではない。彼はやや先輩に当たるマックス・ウェーバーのような天才的な学者ではなく、また同じ年に生まれているアントニオ・グラムシのようなある種の直観を持つわけでもない。彼は終始尋常である。本書でヘラーを取り上げるのは、彼が二十世紀政治思想の現実的焦点となる国家、民族、主権、またそれに対抗する要素を持つ社会主義の問題に、あくまでも正攻法的な取り組みを試みており、まさしくそうであるが故に、その試みの限界点において期せずして二十世紀国家の限界点を露呈させているからなのである。
目次
1 レヴァイアサン―誕生から滅亡まで
2 ケルゼン―実証主義の光と影
3 カール・シュミット―ファシズム的政治概念
4 ヘラーと国民国家
5 社会民主主義と国家
6 国家主権の法的構造
7 大衆民主制とファシズム
8 憲法闘争
9 近代国家のゲシュタルト転換―ヘルマン・ヘラーの遺言
付録 フランス・イデオロギー―弁証法的唯物論の転位
著者等紹介
南原一博[ナンバラカズヒロ]
1944年生れ。1968年東京大学法学部卒業。現在、中央大学法学部教授。専攻は政治思想史
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