内容説明
江戸から明治へ―浮世絵が過去のものとなりゆく時代を生きた「最後の浮世絵師」たち。その百花繚乱の姿。
目次
序 明治の浮世絵と『明治浮世絵師列伝』
第1章 豊原国周
第2章 落合芳幾
第3章 月岡芳年
第4章 小林清親
結語 明治の浮世絵と浮世絵研究
著者等紹介
菅原真弓[スガワラマユミ]
学習院大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(哲学)(学習院大学)。現在、大阪公立大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かっぱ
36
【図書館】江戸の浮世絵師は有名で研究も多数あるが、著者は明治まで生きた浮世絵師に注目。①豊原国周、②落合芳幾、③月岡芳年、④小林清親の4名の絵師について考察。①は三代目歌川豊国、②③は歌川国芳の弟子。④は独学に近かったとされる。師匠のある絵師はそれぞれ師匠を超えようと独自性を持って挑んでいる。明治になって写真技術、印刷技術が入ってからは、写真を真似て、輪郭線を無くすなど工夫している。精神疾患を患った「血みどろ絵」の芳年も、そこに捕らわれず、戦争を描いた絵師としても評価。②④など新聞との関係性も面白い。2023/08/26
owlsoul
8
日本の浮世絵研究は、いわゆるジャポニスムなどの国際的評価を発端としている。しかし、その研究対象のなかには当時の「現代」=明治の浮世絵は含まれなかった。明治期の浮世絵は新聞や雑誌などの新しいメディアと接近し、その役割を情報伝達の媒体へと変換したが故に、写真技術にその地位を奪われ衰退していった。大きな時代の転換点でもあった明治期において、作品の表現はリアルかつセンセーショナルなものへと変貌し、「血みどろ絵」をはじめとする新たなジャンルを確立している。本書ではそんな明治の浮世絵師たちの美術的再評価がなされている2024/08/04
PAPER FISH
0
月岡芳年の血みどろ絵、虚構とのことだが、生々しい。国民教化にも動員されていたのか、と思うと、感慨深い。2025/01/18