内容説明
オランダの造形運動デ・ステイルを主宰したドゥースブルフの造形芸術論。「友と敵に」ささげられた本書は、新しく登場した抽象絵画に対する一般観衆の無理解と攻撃に対し、芸術作品一般の原理に基づき作品の見方を解き明かす。運動の普及に情熱を注いだ彼は、20年代初めヴァイマールに滞在しバウハウスの機能主義的デザインに影響を与えた。本書はバウハウスとデ・ステイル双方の友情のしるしである。
著者等紹介
ドゥースブルフ,テオ・ファン[ドゥースブルフ,テオファン] [Doesburg,Theo van]
1883‐1931。オランダ・ユトレヒト生まれの芸術家、評論家。本名C.E.M.キューパー。16歳で絵画を学び始め、1908年ハーグで初めての個展を開く。雑誌『統一』での芸術批評や建築設計などにも従事する。1917年、画家ピート・モンドリアンや建築家J.J.P.アウトらとともに雑誌『デ・ステイル』を創刊、編集長として重要な役割を果たす。以後、絵画・建築・彫刻作品の制作や評論執筆など旺盛な活動のかたわら、ヨーロッパ各国へ講演に赴き、前衛芸術家や建築家らと積極的に交流する。1921-22年にはヴァイマールに滞在しバウハウスへ接触、バウハウスの外部でデ・ステイル講座を開講する。1931年、パリの「抽象=創造」グループ設立に参加するが、同年ダヴォスにて急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
7
能動的経験が芸術的創造であると主張する著者は、「現実的な基本的存在を造形する」ことを芸術の目標とし、対象を諸要素に還元し構成する造形を提唱した。デ・スティル運動を主導しバウハウスに影響を与えたという著者の主張は、基本的2項概念(空間/時間、能動/受動、上/下、黒/白等)から芸術を造形する点でモンドリアンとその考えを共有するかに見える。が、デ・スティルからモンドリアンが離脱した経緯を念頭に本書を読むと、人間を超えた普遍性を求めるモンドリアンに対し、著者が人間言語をベースに要素主義を構想したことが理解できる。2025/04/08