内容説明
わたしたちは民主主義と権威主義が相争う世界を生きるのか?私たちは、選挙こそが民主主義を担保すると考えてきた。しかし、勃興する権威主義体制国家では、狷介な独裁者たちが選挙というメカニズムを巧妙に操作し、自分たちの思う結果を得ようとしている。近代以降200年かけて築き上げてきた法や秩序やモラルの体系が厳しい挑戦を受けるなか、民主主義の合わせ鏡として独裁主義の現在を探求する。
目次
第1章 現代の独裁体制
第2章 政治体制と独裁選挙の歴史的変遷
第3章 選挙権威主義の原理と論理
第4章 独裁制と選挙不正
第5章 独裁制下の制度の操作
第6章 独裁者によって操られる経済政策
第7章 独裁者に牙をむく選挙
第8章 選挙操作から利益の分配へ―盤石化するカザフスタンのナザルバエフ体制(1991~2007)
第9章 選挙操作から体制の崩壊へ―弱体化するクルグズスタンのアカエフ体制(1991~2005)
第10章 権威主義と民主化のゆくえ
著者等紹介
東島雅昌[ヒガシジママサアキ]
東北大学大学院情報科学研究科准教授。1982年沖縄県生まれ。2001年福岡県立修猷館高校卒業。2006年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。2015年ミシガン州立大学政治学部博士課程修了(Ph.D.in Political Science)。専門は比較政治経済学、権威主義体制、体制変動論、中央アジア政治(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kuroma831
9
今年、サントリー学芸賞などのあらゆる賞を総ナメにしていた政治学界隈で話題の本。めっちゃ面白かった。現代における独裁制である権威主義の中で多くを占める選挙権威主義体制において、選挙はどのような意義を持ち、どのような便益とリスクがあるのかを実証分析で明らかにしていく。暴力と抑圧で支配する独裁者というイメージは過去のものであり、冷戦後の権威主義体制はほとんどが制限の多寡はありつつも選挙制度を導入している。彼らは民主主義が主流の国際社会にいい顔をするためだけに選挙をしているのではない、というのが本作のテーマ。2023/12/30
takao
1
現代の独裁制2024/09/24
(ま)
0
多国間統計分析による選挙独裁制での選挙のジレンマ 狡猾な独裁者の多彩な方策による権力維持と滑り落ちてしまうヤツ、ポピュリスト民主主義での手段の収斂...2024/08/13
SUNDO
0
集合行為勃興の抑制/非選挙期の軍事支出の増額傾向/第三の波2024/04/03