出版社内容情報
インドと中国の台頭が、周辺地域、南・東アジアに、どのようなパワーバランスの変化と地政的リスクをもたらすのかを検証する。
【著者紹介】
田所 昌幸
慶應義塾大学法学部教授
内容説明
巨大な国土と人口を擁する二つのスーパーパワー。その台頭はアジアに、世界に何をもたらすのか。激変するアジアのパワーバランスを探る。
目次
第1章 パワー・トランジションとしての印中台頭
第2章 インドの中国認識
第3章 印中戦略関係の観察
第4章 印中とアメリカの戦略的相互作用
第5章 パキスタンから見た印中の台頭
第6章 二つの例外主義外交
第7章 台頭する国家のシミュレーション分析
著者等紹介
田所昌幸[タドコロマサユキ]
慶應義塾大学法学部教授、博士(法学)。1956年生まれ。1979年京都大学法学部卒業。1981年同大学院法学研究科修士課程修了。1983年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス留学。1984年京都大学大学院法学研究科博士後期課程退学。姫路獨協大学教授、防衛大学校教授などを経て2002年より現職。著書に『「アメリカ」を超えたドル』(中公叢書、サントリー学芸賞)、『国際政治経済学』(名古屋大学出版会、政治研究櫻田會奨励賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yo
7
21世紀に入ってから台頭目覚ましい中国とインドの2か国についての現状と展望を示す論文集。ことインドについてはそれが主題となって一冊の本になっているものはまだ少ないので、その点では貴重なものだろう。パキスタンとインドはかなり根深い敵対関係にあるが、それでも経済的な交流の必要性を両国ともに感じているというのは意外だった。また、例外主義外交的な側面を中印ともに持ってるとする論もあったが、こういうのをみる度に「日本はなんでこうならなかったのか?」を疑問に思う。「敗戦国」だからかとも思うが、どうだろうか。2018/03/13
うえ
3
「いわゆるアラブの春も、自由民主主義の定着を意味するものではないことが2010年代の半ばまでにはほぼ明らかになっている」「インドから見ると中国に対する脅威感は依然として根強い…両国間には深刻な国境問題が存在し、それは1962年には実際に戦争に発展した…近年では中国が海軍力の急激な強化を通じてインド洋でも存在感を増した」「中国外交が中国社会に流れる特定の歴史観に強く影響されていることはしばしば指摘されるところだが、現代中国の「例外主義外交」もかつてアジアの覇権国であった中華帝国の記憶が色濃く投影されている」2015/06/26
ワッキー提督
0
現状と展望を概説した一冊。第6章の両国の国際政治観の特殊性については目新しかった。2015/08/18