内容説明
ブッダの遺骨を納めた仏塔―それはブッダそのものであり、地上の楽園、瞑想の場にもなった。しかし、古代インド人の宇宙観・信仰・神話・伝承が秘められたシンボルの複合体でもあった。仏塔研究の第一人者が解き明かす、興味尽きない話の数々。図版多数。
目次
第1部 仏塔の始まり(ブッダの涅槃と葬儀;舎利八分伝説の検証;仏塔の原語;仏塔の起源;仏塔の構造と供養法;仏舎利塔以前の仏塔)
第2部 仏塔が語るもの(仏塔は地上の楽園;仏塔の支持層;彫刻・彫像の伝えるもの;ジャータカと菩薩)
第3部 仏塔の広がり(西北インドの仏塔;南インドの仏塔;西インドの塔院窟)
第4部 仏塔信仰の深まりと変容(大乗仏教と仏塔崇拝;部派仏教と仏塔崇拝;仏塔の変容)
著者等紹介
杉本卓洲[スギモトタクシュウ]
1935年山形県に生まれる。1958年東北大学文学部卒業。1963‐1967年インド政府奨学金留学生としてパトナ大学(ビハール州)に留学。1967年Ph.D.(パトナ大学)。1969年東北大学大学院博士課程退学。1969‐2006年東北福祉大学・金沢大学・金城大学にて教鞭をとる。1982年文学博士(東北大学)。金沢大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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in medio tutissimus ibis.
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インド内における仏塔(ストゥーパ)とそれにまつわる伝説や信仰についての研究。これまで仏塔の信仰は在家を中心とする大乗仏教の信徒によって支えられてきたといわれてきたが、実際には部派仏教の信仰も時に禁止されるほどに厚く、そもそも両者の僧院における雑居や経典の類似性から従来言われていたような対立は見いだせない。仏塔は墳墓の中でその埋葬者が王ではないという点で特異であり、その起源は明らかではない。土饅頭型の仏塔は昇天と大地への沈殿の両方向の志向を備え、仏塔建立とそれに続く分舎利戦争の伝説は部族間抗争の融和を説く。2018/04/25
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