内容説明
禅宗において『碧巌録』と並び称せられる『従容録』の、示衆・本則・頌に懇切な語注を付し、その真髄を平易な現代語訳で説き明かす。
感想・レビュー
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roughfractus02
9
本書は宏智正覚の本則と頌に万松行秀の示衆、評唱・著語を付した現代の曹洞禅の公案100則を収録する。構成は『碧巖録』に準ずるが、冒頭の本則の配列は、世尊(ブッダ)、達磨大師、般若多羅、再び世尊と来て、曹洞宗の始まりに位置する青原へ連なるインドから中国に至った曹洞禅の系譜を表すという。後に道元は「黙照禅」と揶揄されたが、本書の第2則の梁の武帝と達磨の対話(『碧巖録』ば第1則)からすでにその特徴がある。仏法の根本義を問う武帝に達磨が「不識」と答えて面壁9年座禅する所で終わる本書は、言葉の傲慢を避けるかに見える。2023/05/09