内容説明
見えてくる律なき仏教国の宗教的危機。「律」規定に基づくインド仏教の出家と僧団生活を社会との関わりを中心にして徹底描写する。
目次
第1章 仏教僧団の成立と構成
第2章 律蔵
第3章 出家作法
第4章 遮法
第5章 僧団の施設
第6章 日常生活
第7章 僧団と一般社会の関係
第8章 僧団の教育制度
第9章 仏教僧団と女性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
7
1999年刊行。発行所は大蔵出版。索引があり、注も50ページある。パーリ律を用いて、必要なところを拾って解説している▲サンガとは意識の高い者たちが寄り集まって修行に専念するための団体であり、公益団体ではない。だから、(偽装)転向者や犯罪者、負債者や奴隷、黄門(去勢者を含む同性愛者)や両性具有者は出家不可としている▲僧の追放(最も重い罪への処罰)に関する律は、在家信徒を含め一般公開していない。外部の人間や在家信徒が、特定の僧を辞めさせる回路は存在しない。2018/02/05
ジュリ
2
原始仏教の出家について解説した本。日本の出家とはまったく違う。この本を読むと今の日本の出家は規則が弱いかなという気がする。2018/10/06
in medio tutissimus ibis.
1
僧を公務員とする国家仏教として導入した日本には僧独自の律がなく、また渡来後に極めて高い多様性を獲得してしまったため、シャカムニ仏教断本来の形は伝わっていない。そこで見失われがちな出家というもの本来の形を主に律蔵の中でも最も古いパーリ律に基づき、仏教集団の実生活に即して解明する。仏教サンガは乞食の徹底を特徴とし、社会の好意に頼るため、社会の要請に極めて敏感である。サンガへの加入制限などに特にその点が影響する。また、女性差別的な律にも社会状況と不邪婬戒を守るために制定されたものもある。律には成立経緯も記される2017/05/15
天使
0
律蔵研究の意義を改めて考えさせられたのでテーマ変更。 読みやすいから著者のシリーズ続けて購入。2020/09/18
隠居
0
抜群。仏教僧団への理解一気に深まる。2018/07/09