内容説明
厳密な論理とロマン主義精神による「仏教学の新生」。現代の仏教理解をすべて否定する問題の書。
目次
如来蔵思想は仏教にあらず
縁起について
仏教と神祇―反日本主義的考察
実在論批判―津田真一氏に答えて
解説と涅槃―この非仏教的なるもの
『般若経』と如来蔵思想
『勝鬘経』の一乗思想について
空について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっちも
16
ネルケ無方さんがyoutubeで、南直哉さんの「超越と実存」の元ネタは松本史朗の如来蔵思想批判と言っていたので興味を持って読んでみた。https://youtu.be/Pdb_96N98HY なるほど帯にある「現代の仏教理解をすべて否定する問題の書」という売り文句はまったくその通り。縁起のパラダイムから仏教を眺めれば、座禅やら、仏像やら、ましてや、葬式やお墓は仏教とは相入れない要素であり、両立できない。縁起至上主義から仏教を再構成してみると、釈迦や道元が苦闘したり、なし得ようとした事がおぼろげに見えてくる2018/12/13
bapaksejahtera
14
日本仏教が誰もが如来たり得るとする如来蔵思想に囚われ、釈尊本来の教えである縁起説を離れた実在論に堕しているとする論を纏めた記念碑的な本である。松本氏は1986年に「如来蔵思想は仏教にあらず」と打出して以来我が国既成の仏教学者を数多く批判の俎上に上げたが、本書では特に、著名な密教権威である津田真一氏批判に多くページを割く。批判側の本からではあるが、津田氏の論は徒に文学的修辞的で、論理的整合性では著者に旗が上がるような気がする。但し私には山川草木悉皆仏性とする一元論こそプロティノス的な懐かしさを感ずるのだが。2022/04/01