内容説明
本書は窪田章一郎の十歌集とそれ以後の作品の中から二百首を選び、それぞれ鑑賞を加えたものである。
目次
無心にてわが在りしとき忽然とわれに現れしわが心なり(初夏の風)(橋本喜典)
清らかさ侵さしめじと若きらが闘志に燃えて山を尊む(橋本喜典)
もの書けばつたなきわれの悲しかれこの悲しみを生甲斐とせむ(橋本喜典)
髪白く肉落ちし君が潔よき魂細らず出所したまふ(橋本喜典)
眼下の尾根づたふ路貫之も志賀へ越ゆると踏みにける路(橋本喜典)
若き母初の子われを抱きては行かしましけむ日の鉄路かも(橋本喜典)
腹ゆすり胸ゆすり声を立てにけり笑ひたるなりわが緑児は(橋本喜典)
武蔵野に作り継ぎたる畑つもの土に無駄なし季節うつりつつ(橋本喜典)
召されては出づる教子しぬびつつわが弟も数に加はる(橋本喜典)
戦ひの都離れし初旅の幼児迎へ待ちとりたまふ(橋本喜典)〔ほか〕