内容説明
人生をフルスロットルで駆け抜けてきた小説家が齢八十を越えて到った境地―。小説と庭づくりに明け暮れる日々。長年連れ添った妻とタイハクオウムのバロン君との間に交わされる会話にはそこはかとないユーモアが…人生、そう捨てたもんじゃない。読めばもれなくもらえる元気。最新エッセイ集!
目次
初めまして
何はともあれ、生きてみようか
何が面白くて生きるのか
この世のいっさいは幻想
幸福は葉陰から覗くサクランボ
いいよねえ、この感じって
春の嵐の最中に
駄目なものは駄目
時は常に朧なり
美の基準はどこに
物事の始まりは決まって華やか
ヤドリギはどっち
ほかに道はなかった
華があるのに渋い花
らしくない小説家?
現在より偉大な過去はない
苦悩と情熱にあふれ返る現世
人生なんてさあ…
死が癒してくれるよ
生きたまま現世を超える?〔ほか〕
著者等紹介
丸山健二[マルヤマケンジ]
1943年、長野県飯山市に生まれる。仙台電波高等学校卒業後、東京の商社に勤務。66年、「夏の流れ」で文學界新人賞を受賞。翌年、同作で第56回芥川賞を史上最年少(当時)で受賞し、作家活動に入る。68年に郷里の長野県に移住後、文壇とは一線を画した独自の創作活動を続ける。また、2020年に「いぬわし書房」を設立。出版活動のほか“丸山健二塾&オンラインサロン”や“丸山健二文学賞”なども運営している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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フランソワーズ
11
若い頃から群れることを厭い、突っ走ってきた孤高の作家。さすがに寄る年波には勝てないらしい弱さを吐露している。でも長年研ぎ続けてきた爪牙は失っておらず、端々に鋭さが見え隠れする。うれしい限り。2024/11/11
Go Extreme
2
深夜の書斎で言葉と格闘 文学は茶番染みた人生か 理想の枠組みで自費出版 画期的な文学創りを目指す 文学は蒸し暑い部屋の氷柱 書斎と庭は壁域そのもの 束縛を減らした自由人もどき 不安定な生活も「面白」 美学より生々しい命を 一年中花いっぱいの大殺戮 黄葉するダンコウバイへの憧憬 美は環境が成す鍵 散る時に散らない花は価値半減 庭作業は生きることそのもの 常に変わりゆく庭でありたい アルプス颪が家を揺らす 夏は暑く冬は雪と低温の地 真昼間のニホンカモシカの威嚇 能天気な妻と動物たち 生とは前進、死は休息2025/04/25