内容説明
新たな出会いの扉、再読のガイドライン。20世紀最大の文化哲学の巨人、ヴァルター・ベンヤミン(1892‐1940)は、ベルリンの裕福なユダヤ系の家庭に生まれた。はやくから批判的精神を学びとり、文芸批評やアクチュアリティを優れた文体で実現しようと努めたベンヤミンは、ことば論やロマン主義の考察で学問的なキャリアを形成したがアカデミズムには受け入れられず、主として新聞や雑誌に繊細で緻密なエッセイを発表した。また、同時代にフランスで起こったシュルレアリスムに強い刺激を受け、マルクス主義を吸収し、ファシズムの圧倒的な暴力に、生涯を賭けて抗った。本書では、21世紀の資本主義(消費社会)の限界と新たな人類の危機を生きる現代人にとって示唆に富むベンヤミンの思索の歩みを、主として芸術文化論とメディア論、パサージュ論に重きを置いて、一つ一つの著作を辿りながら、短歌を用いて解き明かす。
目次
第1章 ベンヤミンの揺籃期(『ベルリンの幼年時代』;『言語と社会』 ほか)
第2章 ベンヤミンの代表作(『ゲーテ 親和力』;『ドイツ悲劇の根源』 ほか)
第3章 ベンヤミンの芸術文化論(『複製技術時代の芸術』;『シュルレアリスム』 ほか)
第4章 パサージュ論(『パサージュ論』第1巻;『パサージュ論』第2巻 ほか)
著者等紹介
山口拓夢[ヤマグチタクム]
1966年、東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。札幌大学女子短期大学部教授。専攻は西洋哲学・神話学。哲学やギリシア神話のみならず、心理学、人類学、宗教学など文系分野全般に関心を抱き、その深い知識を基に数々の文章を発表している。またクラシック音楽への造詣も深く、CDを聴いた途端にその曲名はいわずもがな、演奏者まで言い当てるという特技をもつ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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