出版社内容情報
佐伯 一麦[サエキ カズミ]
著・文・その他
内容説明
作家生活30年目にして初めて持ったオーダーメイドの机。山形の家具職人・Nさんの手になる机に向かい、振り返る文学的半生―当代きっての私小説作家がものの記憶にからめて綴った滋味あふれるエッセイ!
目次
机
筆記具
ワープロとパソコン
電鍵
流行歌
煙草
スーツケース
酒 グロッグ
酒 ウィスキー
酒 日本酒〔ほか〕
著者等紹介
佐伯一麦[サエキカズミ]
1959年、宮城県仙台市生まれ。仙台第一高校卒。雑誌記者、電気工など様々な職に就きながら、84年「木を接ぐ」で第三回海燕新人文学賞を受賞する。90年『ショート・サーキット』で野間文芸新人賞、91年『ア・ルース・ボーイ』で三島由紀夫賞、97年『遠き山に日は落ちて』で木山捷平賞、2004年『鉄塔家族』で大佛次郎賞、07年『ノルゲ Norge』で野間文芸賞、14年『還れぬ家』で毎日芸術賞、『渡良瀬』で伊藤整賞、20年『山海記』で芸術選奨を、それぞれ受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
泉を乱す
9
人間的な事柄に関する知識や想いの深さに、ぐいぐい惹き付けられた。教養っていうワードで表現すると味気なく感じちゃうような深み。2022/07/18
遠い日
7
佐伯一麦氏の書く小説と同じ地平にあるエッセイ。これまで読んできた氏の作品の世界を、リアルな現実世界に置き直したかのような印象です。なので、懐かしい作品を思い起こしたりしながらゆったりと読むことができました。自分の来し方の諸々を振り返る作業は、自己分析も伴い、確認の意味もあったでしょう。滋味溢れることばたちに出会えて嬉しかった。2022/10/19
都忘れ
7
山形の職人に注文した机を前に様々なものとの思い出が語られていく。新聞配達をしていた少年時代、上京したての頃の話、電気工、記者など様々な職に就きながら小説を書いていた時代から現在に至るまでに、出会ってきた筆記用具、ワープロ、カバン、レコード、オーディオ、衣服等だけでなく、音楽やお酒の事などが当時の時代背景と自身の作品の背景と絡めて書かれてあって興味深かった。ほぼ同世代で、同じ地域に住んでいるのも一層懐かしさと親近感を増す。装丁、特に表紙が美しい本。2022/06/21
あるぱか
4
読友さんの感想が気になり読みました。日用品に関するエッセイはいくつか読みましたが、今までとは違った視点で面白かったです。兼業作家時代の苦労話も多く、純粋なエッセイではないように感じました。自然を愛する心に満ち溢れた内容だったので、読んでいると外に出かけたくなりました。興味の引き出しをいくつも持っていることって素敵だなぁと感じさせてくれます。2023/08/21
chuji
2
久喜市立鷲宮図書館の本。2022年4月初版。初出「山形新聞」2013年10月9日~17年12月27日。毎月第2・第4水曜日に連載。オイラの大好きな私小説家です。あとがきによると、作家となって三十年、米沢市で工房を構える中村幸男さんに机を作ってもらい、その机で文学的な歩みと、半生記とを、さまざまなものに託して綴ったものとのことです。優しいエッセイ集でした。2022/08/01