内容説明
隅田川のほとりに生まれ育ち、その黒い流れに「生命の不思議」を見た著者が志した科学と小説の道―書いてきた日々も、書けなかった時も、長年の創作生活の合間合間に紡いできたエッセイの数々。その集積の果てに見えてきたのは、理系的であろうとするほど文学的になってゆく“素の自分”だった…。
目次
第1章 理系と文系のあいだで
第2章 生命の響き合い―立派に生きること
第3章 読むことと、書くこと
第4章 ライフについて
第5章 本棚と散歩道
第6章 隅田川のほとりから
著者等紹介
増田みず子[マスダミズコ]
1948年、東京に生まれる。東京農工大学農学部卒業。77年、「死後の関係」が新潮新人賞の候補となり、小説家としてデビュー。その後「個室の鍵」「桜寮」「ふたつの春」が連続して芥川賞候補(その後も合わせて計6回)となる。85年、『自由時間』で野間文芸新人賞、86年、『シングル・セル』で泉鏡花賞、92年、『夢虫』で芸術選奨文部大臣新人賞、2001年、『月夜見』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HH2020
3
◎ 『小説』は私にとって難解というかイマイチだったが、この『理系的』はまずまずの相性だった。理系を目指していたのに結果的に小説家になったという著者の自分史的な内容で、90年代からの約30年間にあちこちの雑誌等に書かれたエッセイまたは短文を集めたものである。新聞の書評欄では「心地よいやわらかな知」と評していたが同感だ。彼女のものの見方感じ方は理系人間の私に通じる。この本は福岡市の図書館になく購入もしないと言われ、他市から取り寄せてもらったのだが福岡市はなぜこの本を所蔵する気がないのだろう。再考を促したい。2023/01/19
檸檬
1
昔、この方の「自由時間」が大好きで繰り返し何度も読みました。他の小説も妙に突っ張ったところがありましたが、今このエッセイを読むと丸くなられたように感じます。次はこの中で記載のあった「火夜」を読もう。そのまた次は「小説」を読もうかな。2021/12/12