内容説明
めくるめく語彙、彫琢した文章によってわずかな紙幅に凝縮された、さまざまな人間の営み!
著者等紹介
丸山健二[マルヤマケンジ]
1943年、長野県飯山市に生まれる。仙台電波高等学校卒業後、東京の商社に勤務。66年、「夏の流れ」で文学界新人賞を受賞。同年、芥川賞を受賞し作家活動に入る。68年に郷里の長野県に移住後、文壇とは一線を画した独自の創作活動を続ける。また、趣味として始めた作庭は次第にその範疇を越えて創作に欠かせないものとなり、庭づくりを題材にした写真と文章をまとめた本も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takaichiro
87
戦前生まれの丸山さん。今年で齢76歳。50年以上前に芥川賞を取った大作家。この世に生きる様々な人間の営みをそれぞれ1ページずつ約90ページ並べた「われは何処に」。圧倒的な語彙の力に気絶しそうになった。一人ひとりの人間がそれぞれ違う考え、感情、境遇で同時並行且つ連続性を持って生きる。社会とはこういうことだなと、久しぶりに心に感じられた本作。満員電車に揺られ嗅ぐ人間集団のニオイまで鼻腔に届く程でした。豊富な語彙の力をまざまざと見せつけられ、今後も一歩一歩言葉道を前進したいと決意できた作品でした。2019/09/06
メルコ
5
"丸山健二 掌握小説集"とあるように、わずか一頁の短い文章を連ねた「われは何処に 」、一頁ごとに区切られているものの中編としても読める「風を見たかい?」を収録。「われは何処に」はほとんど句点がなく、文章はとめどなく続いていく。難しい言葉も多々あるが、文章のリズムが独特で独自の世界観を作り出していた。著者の作品は上下巻に分かれるような長編が多く、まずは入門編として手に取ってみた。2023/02/06