内容説明
獄中から国会へ至る宮本顕治の足取りは、そのまま日本現代史を象徴する。『十二年の手紙』と『国会の十二年から』宮本顕治の政治と文学にかかわる思想的営為を徹底的に解剖する。果してそこに顕現するものはなにか。革命的批判精神の稀薄化そして死滅。天安門、東欧、ペレストロイカのソ連―世界史的な激動のなかでなお咳払いひとつ聞こえてこない不可思議な「無風・一枚岩」の堂風。それを怪しみ、惜しみ、痛みをもった批判する。
目次
1 2つの「十二年」―『国会の十二年から』に即して
2 「あとがき」の構造―『宮本顕治文芸評論選集』第1巻「あとがき」に即して
3 付録―宮本顕治のためのノートとしての年表