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内容説明
東京オリンピックを来年に控えた、墨田のとある小さな町―。長屋で父と弟と三人で暮らす恵子は、父に持ち込まれた再婚話に戸惑うが、ある日、その見合い相手が家にやってきて…。酒屋の息子・富夫は父親とケンカをして何日も家に帰っていない。しかし行く先々で聞かされるのは富男の知らない父の姿ばかりだった。バレエを本格的に学びたい明美は、最初にバレエの楽しさを教えてくれたかおる先生にレッスンを辞めることをなかなか言い出せなくて…。互いに親の記憶のない春夫と和子は、田舎から息子を捜しにやってきた老婆をしばらく引き取ることになる。束の間、母親の愛情を受けた若い夫婦に起こった奇跡。出稼ぎの男が故郷の家族にあてた、不器用で素朴な手紙に書かれているのは…。昭和の東京に生きる人々の清々しい生きざまを描いて短篇連作集。
著者等紹介
竹之内響介[タケノウチコウスケ]
昭和34年生まれ。東京・西東京市出身。TVCM、ウェブのショートムービー、ゲームソフトのCGムービーなど映像の企画・演出を手がける。シナリオ・センターでドラマを学び、制作した自主映画が小津安二郎短編映画祭、ショートショートムービーフェスティバル入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ざるこ
43
私は昔から坂本九さん歌唱の「見上げてごらん夜の星を」が好きだ。今でもYouTubeで聴くと、じーんときてしまう。タイトルで手に取ったこの作品はオリンピックを翌年に控えた東京墨田の下町で暮らす人々の連作短編集。大人が聴くのは落語や浪曲、子供は親の仕事を手伝い鉄人28号を友達の家に見に行く。懐かしい昭和の商品や遊び。雨が降れば隣家の洗濯物も入れる。今では考えられないご近所との親密さ。発展途上の雑多な時代に生きる家族、友達とのほろりとさせるお話ばかり。写真が幸せを思い出させる…写真館の老人がいい仕事してます! 2019/03/22
ゆみねこ
18
東京オリンピックを翌年に控えた、東京下町の人々を描いた9つのお話。「拾ってきたお母ちゃん」と「みかんの花咲く丘」が特に良かった。エピローグも中々良かった。貧しかったけれど、日本が一番幸せな時代だったのかも。2012/01/10
やぎ
9
高度成長期の真っ只中、翌年に東京オリンピック開催を控えた東京・下町が舞台。9つの短編はそれぞれ視点が異なるものの連作となっていて、その物語は大好きな西岸良平の三丁目の夕日を彷彿とさせる。日本は貧しくても一番エネルギッシュな時代で、困った時はお互い様という人情味の濃い暮らしぶりを映画を観ているかのような筆致で描かれている。どの短編も旧懐の情を醸し出していて胸に染みるヒューマティに鼻の奥がツーンとした。読みながら最後まで坂本九の歌がレフレインしていた。さて、来年は二回目の東京オリンピックですね。2019/04/02
井坂 茜
7
出身がおなじ作家さんで、ひばりヶ丘団地が出て来てテンションが上がる(笑)!東京オリンピックの前年の墨田を舞台にした短編集。アナログで人と人との結びつきが濃い時代。読み進めるにつれて、登場するひとりひとりへの愛しさがどんどん増してくる一冊。悪い人がいない作品でした。2015/11/07
ことぶき2011
5
言ってみれば、小説版「三丁目の夕日」。ベタな話なんですが、泣けます。バレリーナになりたい女の子の話と、息子を探しに田舎から出て来た母親を、貧しい若夫婦が面倒を見る話は、電車の中で読んでて泣きそうになりヤバかったです。2011/10/19
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