内容説明
やっと決まったアルバイトのピザ屋さんには、大柄なおばさん・佐伯さんがいた。佐伯さんの抱えた息子への思いがせつない「寒い夜のピザ」。真衣は散歩の途中、真冬の海辺にひとりたたずむ女性を見かける。女性の背負った悲しみに真衣は…。生きる苦しさと希望を紡いだ「真冬のお花見」。年に一度、会えない孫娘に贈るクリスマスプレゼント選びを楽しみにしていた老夫婦を描いた「さよなら、サンタさん」ほか。やさしい涙がこころにしみる12篇の短篇小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひらけん
13
最近はこんな泣く話ばかりを集めた本ばかり読んで気がする。まあ、人の優しさは時に残酷な時もあるけど、あの暖かみに触れると素直に感謝してしまう自分がいる。普段は捻くれてるんやけどな。本の中で「さよならサンタさん」が一番良かった。何年か前に友達の子供たちにクリスマスプレゼントを渡した事を思い出したな。その友達とはちょっとした喧嘩でもう音信不通になってしまい、あれから一度も会ってない。その子供たちはプレゼントを渡した俺をまだ覚えてくれてるかな。お返しに誕生日プレゼントで貰ったリボンを未だに大切に持ってるけどな。2016/09/13
文庫フリーク@灯れ松明の火
13
ベタなんだけど、なぜかほっとするシリーズ。『囲碁じいさんず』『ヒーロー』が良いが『余命』が一番かな。ベタベタだけど〈生まれて初めて、誰かに「君が必要だ」と言われた〉〈生まれて初めて、誰かのために「生きたい」と思った〉疲れている時は結構癒される(笑)2010/05/04
よしりん
12
サブタイトル‘光’のとおり最後スッと明るい未来が見えるような短編集だった。『どんぐりの温もり』『ヒーロー』『余命』が特によかった。2015/08/27
メルモ
9
「寒い夜のピザ」が、いい!次々と家族を亡くした佐伯さん。亡き息子が歩むはずだった人生を思い、学生アパートに住み、ピザ屋でバイトをする。その心の中には、息子への深い愛情が・・・少しでも、息子が見るはずだった人生のワンカットを感じるために・・・2014/05/26
スー
8
タイトル通りのお話が詰まった短編集。どれも心が温まりましたが私の一番は『余命』。生きる意味を見出せず自殺を志願する桜井瞳の携帯に、見ず知らずの男性中山颯太からの着信があり、「余命1年のつもりで生きてみて」と諭されて生きる希望が湧いていく瞳。しかし颯太の身の上には…というお話。素直に泣けました。個人的な話ですが、実は読了前からこの話を知っていました。昔NHKR1「ラジオ文芸館」でこの話を聞いたことがあります。ただ、そのタイトルは『もう一つの余命』で、主人公は颯太だったと記憶しています。関連作品があるのかな?2023/10/04
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- 和書
- 福田恒存全集 〈第3巻〉