内容説明
著者クラークは、画家としての目を通して、戦時中の捕虜収容所や作業現場、そこにいた捕虜や日本人たちを、極めて的確、かつユーモラスに記述している。またクラークは、自分たちが体験した数々の苦難、そして楽しかった出来事をイラストの形でも表現しており、それが本書を非常に魅力的なものにしている。元捕虜が赤裸々に綴った“東京俘虜収容所”の貴重な記録。
目次
冒険始まる
新世界
赤道祭
植民地
アジアの女帝
シンガポール沖の海戦
制空権なき戦い
大要塞陥落
人生最大の幸運
大日丸、台湾へ〔ほか〕
著者等紹介
クラーク,デリク[クラーク,デリク] [Clarke,Derek]
1921年8月生まれ。イングランド出身。セイクレッド・ハート・カレッジに進学。陸軍に入隊。シンガポール陥落後、日本軍の捕虜となる。プロパガンダ要員として東京の大森捕虜収容所に送られるも採用されず、品川区の勝島、江東区の小名木川駅、南千住の隅田川駅、そして港区の日の出埠頭や芝浦埠頭で労働する日々を過ごした。戦後は、オックスフォードシャー州テームにアトリエを構え、そこで妻ジョアンと暮らしながら、プロのアーティストとして活躍。2000年12月に79歳で他界
和中光次[ワナカミツジ]
工業系の大学を卒業後、システムエンジニアとして勤務しながら、海外の貴重な英語文献などを、数多く日本に紹介してきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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TATA
34
開戦間もない頃にシンガポールで捕虜となりその後台湾、大森と流れ着いた英国人の手記。相当に過酷な生活であっただろうし、事実真横では命を落とす悲劇が。それでもどこかユーモアの溢れる内容につい笑ってしまうことも。流石に東京大空襲の時の描写にはゾッと。あと、翻訳者の方の丁寧な調査には頭が下がります。いい読書でした。2023/02/16
Homo Rudolfensis
18
タイトルの通りの本。ただ、横書きかつ文体もユーモア溢れる口語調で、そこが意外でした。しかし、内容は「地獄の業火の一角」と呼ばれたシンガポール防衛戦の激戦区からマレーシア、台湾、東京の捕虜収容所の話なので結構重いです。脚気などの病気にかかったり、虫に食われたり、といった様子は軽妙な文体でもリアルに描写されているのでかなりしんどくなります。ただ、最後がハッピーエンドなのは救いですね。 終戦の報せを聞いたときの「表に出すのが怖くて感情を出せなかった」というのはすごくリアルです。2021/09/02
アーク
9
旧日本軍のイギリス人捕虜の手記という、日本人が読むには複雑な心境の一冊ながら、とても面白かった。筆者の抜群な記憶力に基づく克明な場面描写と、決して感情的にならずに飄々とした文体で綴っているからかな。国を問わずに捕虜となった兵士たちは命を落とした方も多いので、その中では筆者は幸運だったんだろうし、文章にもその喜びが溢れている気がする。捕虜の手記という非常に興味深い本だね。2019/12/25
舟江
8
坦々と描かれており、内容も面白いのだが、何故か読み終えるまでに怖ろしく時間が掛かった。気分の波長と合わなかったのかな?2021/10/16
Junichi Watanabe
3
読了。当時の日本軍の捕虜施設等の実態が鮮明に書かれている、が内容の大半は如何に食料の確保をするかに頁を割いている。強制労働(主に物質運搬積み降ろし)の場での食料抜き取りや赤十字配給品など。日本側の提供する食事だけでは足らないだろうが、当時の東京に住む日本人より良いものを食べてた様だ。2019/05/04
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- 和書
- ボク、カモかも…。