内容説明
戦国時代の日本に起きた西洋、キリスト教との邂逅。当時の日本の統治者たちはどう対処したのか?日本人への人種差別、奴隷・人身売買―さらに“天正遣欧少年使節”には隠された目的があった!学校では教えてくれない「吉利支丹」の歴史。
目次
中世という「乱暴狼藉」の時代
イグナティウス・デ・ロヨラと『霊操』
イエズス会士・ザビエル
戦乱の時代のキリシタン大名
織田信長とルイス・フロイス
ヴァリニャーノと天正遣欧使節
世界に連れ去られた日本人奴隷たち
豊臣秀吉の伴天連追放令
宣教師による軍事侵略計画
徳川幕府が禁教を決断するまで
島原の乱―日本キリシタンの千年王国戦争
「天道思想」と一体化した隠れキリシタン
著者等紹介
三浦小太郎[ミウラコタロウ]
昭和35(1960)年東京生まれ。獨協高校卒。現在、アジア自由民主連帯協議会事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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それいゆ
33
1冊まるごと「なぜ秀吉はバテレンを追放したのか」についての話なんだろうか?少々疑問符で読み始めると、案の定バテレン追放令についての記述はごくわずかでした。要するにキリスト教伝来以来明治になって禁教令が解除されるまでのキリシタン史でした。キリシタン大名による領民への強制改宗、天正少年使節の実態、世界に連れ去られた日本人奴隷たち、島原の乱、カトリックへの改宗を拒否したカクレキリシタンの話については、とても興味深く読まさせていただきました。島原の乱を描いた石牟礼道子「春の城」はぜひ一読したいものです。 2019/12/09
roatsu
19
著者が冒頭で述べるとおり渡辺京二、神田千里、藤木久志ら各氏の歴史研究や合理的解釈への入り口ともなる著作。題名のテーマは第八章で述べられるが、そこに至る過程で戦国期本朝とポルトガル・イエズス会のセットだった西欧・基督教の邂逅、結果何が起きたかを俯瞰していく。引用される渡辺京二氏の「欧米の文明を人類の正道と信じその移入に抵抗する者を反動と決めつける明治以来の因襲」はつくづく現代日本人の思考の病弊を突いた至言と思う。往時の宣教師や信徒への同情に始まり、46年憲法と戦後体制への執着に至るまで妄信的固定観念と同調圧2019/10/03
軍縮地球市民shinshin
14
戦国期のキリスト敎伝来から、豊臣政権と江戸幕府の禁教令に至るまでの歴史、それと「潜伏キリシタン」について最後に若干まとめられている。先行研究を頼りにしてまとめられており、その先行研究が誤っていたらどうするんだろう?と思ったが、著者はプロの歴史家ではないのだからそこは酷だろうか。タイトルから判断して宣教師たちの日本軍事侵略計画の話かと思ったら、その内容はたった一章のみ。それも日本に駐在していた宣教師がスペインやポルトガルの軍隊を日本に送り込もうという案を提案して軍が乗ってこなかった、という内容だった。2023/01/23
hdo obata
13
戦国時代にキリスト教をもたらした宣教師の背後にはスペイン、ポルトガルがいた。宣教師が尖兵となって、異教徒の地に切り込んでいく。そのあと軍隊が続いていく。まるでアメリカ海兵隊みたいである。当時の日本の軍事力が彼らに脅威を与えるほど強力だったから、軍事侵略を断念したと言える。もし微弱な抵抗力しかなかったら、南米、フィリピンみたいなキリスト教国になっていたかも・・。そうなれば日本の神社、仏閣は取り壊され、日本の「国体」がどうなっていたか?令和の日本人は秀吉に感謝しないといけないと小生は思ってしまう。2019/05/04
Iwata Kentaro
7
非常に抑制の効いた良書だと思う。寺社の破壊や日本人奴隷といった事情から結果的にバテレン追放に至ったプロセスはとても説得力がある。遠藤周作の「沈黙」への見事なクリティークでもある。かといってアンチクライストでもない本書の価値はとても高い、と思う。2019/11/24