出版社内容情報
内容説明
戦火の中、優しさを失わなかった日本兵たちがいた―“くじら部隊”と呼ばれた歩兵部隊にいた小隊長・成岡正久さんが出会った1匹のヒョウの赤ちゃん。“ハチ”と名づけられ、隊員たちからかわいがられたハチは、人間を本当の仲間だと思うようになっていきました。人も襲う猛獣のヒョウが日本兵たちと心を通わせた奇跡の実話。
目次
プロローグ 中国へ、くじら部隊出発
第1章 牛頭山子ヒョウとの出会い
第2章 命名『ハチ』
第3章 ハチが決闘!
第4章 お別れのとき
第5章 日本へ引っ越し
第6章 戦争による猛獣たちの悲劇
第7章 ハチとの再会
第8章 ヒョウのおじさん
エピローグ ハチ復活へ
著者等紹介
祓川学[ハライカワマナブ]
ノンフィクションライター、児童文学作家。1965年東京生まれ。立正大学経済学部卒業後、総合週刊誌、月刊誌等で主に皇室記事を担当。ほか事件、ヒューマン・ドキュメンタリー、著名人へのインタビュー記事にも取り組み、海外・国内で取材活動を続けている
伏木ありさ[フシキアリサ]
1989年生まれ。千葉県出身。イラストレーション青山塾にてイラストレーションを学ぶ。イラストレーターズ通信会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒラP@ehon.gohon
26
児童書ではあるけれど、読み終えてとてもずっしりとした気持ちになってしまいました。 戦場で子どものひょうと出会った兵隊さんの話ではあるけれど、高知から派兵された鯨部隊だからこその物語であったような気がします。 上野動物園の悲劇を知っているものとしては、どうしてハチをそこに送ってしまったのか、タラレバのループにはまってしまいます。 一見美談に見えるエピソードですが、ハチの育ての親である成岡さんにとって、戦場での悲惨を経験したものとして、ハチは心を癒してくれる存在だったのではないでしょうか。 2020/01/28
青いうさぎ号
20
子供の頃からアレルギーが強くてペットを飼ったことがないせいか、犬や猫に対する愛情が薄めで、冷血人間のように思われがち。でもこのお話は参ったな。戦争という極限状態の中で、人は残忍な行為もしてしまう。しかし、全く逆にこんなに愛情あふれる物語もあったのだ。いま、お家にネコちゃんワンちゃんがいる人もいない人も、子供さんやお孫ちゃんがいる人もいない人も、戦時中の中国から、上野動物園を経て、現在の高知県に至るこの事実を、多くの人の愛情が確かにあったということを、知ってほしい。2022/02/07
コージー
15
戦争の時代に実際にあった話。戦時中にひょんな事からとらえたヒョウを、そのまま部隊で育て、しかし戦争のために犠牲になってしまうヒョウのハチ。やっぱり戦争だけは何があってもやってはいけない。2019/10/14
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
13
胡散臭さ満載のこちら https://bookmeter.com/reviews/125802922 と続けて読んでどちらも同じ出版社ってどういうこと。ハッピーエンドなんて厚かましいことは思わなかったけど、想像していたより双方にとってより悲しい別れだった。戦争の最中でも親を失った豹を慈しむ心があるなら、どうして戦争そのものを避けることができないのかと不思議2025/02/02
TAGO
12
『日本の戦争と動物たち3 動物園から消えた動物たち』の本で 戦時中、中国で日本兵に可愛がられた ヒョウの話を知りました。 以前、水木しげるさんの戦争体験記を読んで 日本兵といえばすぐにビンタの理不尽な世界だと思っていたので、そんな心温まる様なこともあったのか!と意外すぎてこの本を取り寄せました。 いやホントにヒョウのハチはマスコット的な存在で隊員たちの心の癒しだった様です。 その後のハチの運命は悲しいけれど、今は高知みらい科学館に行けばハチのはく製に会えます。 いつか訪ねてみたいと思います。 2021/05/04