出版社内容情報
トロッコは鉱山や鉱業をはじめ、林業、鉄道敷設現場、などで使われていた、もっともプリミティヴな鉄道。親しみやすいというか、電車というよりも自家用車に近い感覚。「乗る」のではなく「乗っかる」というコトバがピッタリ。車両が小さいから、「カッコいい」のではなくて「かわいらしい」のです。それゆえ熱心なファンが存在します。
釧路の新興住宅地を通る炭鉱鉄道、下北半島の海沿いを走る石灰石列車、上皇后美智子様ゆかりの老舗で活躍した館林のトロッコ、東京都の秘境奥多摩に生息する鉱山トロッコ、或る日突然降って涌いたように現れた千葉市の工事軌道、主人自ら線路を敷いて手製の機関車を動かしていた東金の麹蔵、中央高速のトンネル工事、愛知県の山奥で木材を運んだ製材会社の自作機関車、大阪市内の工場で重量物を運搬したトロッコ、乗車賃1円の鉱山軌道、かの軍艦島を望む炭鉱島の旧い機関車、屋久島に残された最後の森林鉄道、南洋の孤島南大東島のサトウキビ運搬トロッコなどなど、1980年前後を中心に取材した膨大なフィルムからチョイスした写真がページを飾ります。
出会いまでのプロセス、不意のめぐり逢いや別れ、ドラマチックな内容が盛りだくさんです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えすてい
7
鉱山鉄道・森林鉄道・工場の専用線・工事軌道において762mm以下のナローゲージに特化する。巻頭カラーを除けば全てモノクロ写真。しかも辛うじて平成まで残った軌道ででも令和の今日には現存しないものが大半だ。立山砂防は車の発達によりさらに列車が減り険しい崖を避ける新ルートになったそうな。愛知県の陶土採掘軌道においては東海湖に溜まった泥でこの地域の良質な粘土がある理由だそうだ。館林にあった正田醤油はフォークリフト牽引トロッコで創業者は上皇后美智子さまの高祖父だという。今となっては奇妙奇天烈なミニ列車の貴重な記録。2022/10/12
kaz
1
動力も様々で、耕運機を改造したものなどはクスッとしてしまう。風景が楽しいものも。図書館の内容紹介は『鉱山や鉱業をはじめ、林業、鉄道敷設現場などで使われていた、もっともプリミティヴな鉄道、トロッコ。北海道から南大東島まで、かつて存在したトロッコを、1980年前後を中心に取材した膨大なフィルムから厳選紹介する』。 2022/12/10
