出版社内容情報
アイヌが「悪い穴」=ウェンルパロと呼ぶ石灰山の洞窟の正体とは…?
道産子の著者が綴る北のおっかない実話怪談!
旭川出身、札幌在住の著者が丹念な取材のもとに綴る地元・北海道の怪。
ネットフリマで落札したアイヌの小刀に宿る、死者の念…「マキリ」、
石灰山の洞穴、あの世に通じる穴が赤く灯る夜。死んだはずの大叔母が…「ウェンルパロ」、
樺太からの引揚船がソ連に撃沈された三船殉難事件。その慰霊碑そばの海岸を彷徨う少女の正体とは…「符合」、
三毛別羆事件の跡地で著者が耳にした死者の声…「羆嵐の現場にて」、
オンコが群生する離島に残る恐ろしき天狗伝説…「天狗の棲む島」他、
道内の歴史や事件に絡んだ実話怪談、全46話収録!
内容説明
旭川出身、札幌在住の著者が丹念な取材のもとに綴る地元・北海道の怪。道内の歴史や事件に絡んだ実話怪談、全46話収録!
著者等紹介
春南灯[ハルナアカリ]
北海道旭川市出身。怪談イベント『雑談怪談』主催。第7回『幽』怪談実話コンテスト佳作入選をきっかけに、心霊体験談の蒐集を開始。自らの足で集めた体験談をもとに執筆した作品で、竹書房主催“怪談マンスリーコンテスト”最恐賞を4度受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
235
著者の作品はアンソロジーで幾らかは読んでいたとは思いますが一冊まとめて読むのは初めてですね。うーん、印象はとにかく素朴で淡々としていますね。えげつなさや怖さは殆ど無く風のように通り過ぎて行った感じですね。もう少し個性が強くてもいいかなとは思いますが、これはこれで著者の持ち味ですから変えてはいけないのでしょうね。コミカルな猫ちゃんの話。『ねこじい』百歳まで生きるのが目標だった相馬さんのお祖父さん、マサじいが90歳の誕生日、親族の集まった祝いの席で心臓発作を起こして亡くなり菩提寺の住職が現れて枕経が始まった。2021/04/29
HANA
64
実話怪談集。主に北海道を舞台とした作品が収められている。有名な三毛別羆事件の現場やカムイコタンを舞台とした話やコロポックルに纏わる話そして全編中白眉とも言える表題作等、北海道という場所を強く感じさせる話がとても魅力的。怪談自体は割とありきたりでインパクトのある話は少ないものの、こういう場所や地霊を感じさせる話は大好きである。何と言うかそこに染み込んだ歴史や因縁を感じ取れるというか。ただ何故か京都や沖縄の話も含まれておりそちらは割と類型的な話なので、どうせなら北海道だけで全編をまとめて欲しかったと思う。2020/05/24
あたびー
41
読んでみて北海道はデッカイだけではなくて、色んな悲劇が起こった場所だと気づいた。そういう場所は日本中たくさんあっても、北海道の悲劇はほぼ本土の人間が入ってからなので、比較的最近の事が多い。支配され苛まれたアイヌのことや、開拓のために渡った本土の貧しい人々、そして囚人。そんなお話が多く含まれていました。(北海道の人から聴いたのかもしれませんが北海道以外の話もありました)筆者は視える人なんですね。2021/05/12
かおりんご
34
ホラー。初読み作家さん。北海道の話だけではなく、沖縄の話もあり。この本に出てくる場所が、「おまえら行くな」に出てくるところだったりしたので、とても興味深く読めた。中国人墓地のゆえんは知らなかったので、なんでもかんでも心霊スポットにするもんじゃないなと感じた。2021/06/19
澤水月
21
北国独自の「風除室(外気温に影響されないよう出入り口前に作る小さな一室)」を初めて知り、自然の厳しさに改めて思いそれ土地ならではの味わい噛み締める。アイヌや炭鉱に関する歴史ある話はやはり読ませる。また、現代怪談の「青いシーツ」は昨今の実話怪談の中でも出色、恐ろしく哀切で甘美、おぞましい2020/02/10