内容説明
本州最果ての地、青森。あの世と繋がる霊場恐山から、神々の棲まう山野まで、雪深き国は神秘と恐怖に満ちている。赤子の泣き声がする無人駅。だが他の者にはその声が聞こえず…「津軽の子ら」、集落で“カミサマ”と呼ばれる祖母が行う虫きりの業…「むつ、二編」、近所の厄介者の家から出る悪臭。だが家の中は綺麗で…「ハナツマミ者」、録音した覚えのない音声ファイルに入っていた見知らぬ男のある一言。数年後、その意味がわかる…「録音」、死んだ従兄弟が赤い目をして夢に出る。その理由とは…「夢は夜ひらく」他、地元出身在住の著者が集めた究極の青森怪談!
目次
まっちゃあ
山
川
海
春
夏
秋
冬
青森乃小怪六篇
ドアを押す〔ほか〕
著者等紹介
高田公太[タカダコウタ]
1978年青森県生まれ。人気実話怪談シリーズ『恐怖箱』執筆陣の一人で、本業は新聞記者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
167
飾り気のない素朴な方言をまじえたローカル色豊かな地方の怪談の味わいは人の温もりが感じられてとってもいいですよね。『へば』優也は6歳の時に母が死に時が経ち40歳になって仕事にあぶれる度に酒をかっ食らう日々で「もう死にてえじゃ」と独り言を吐く。アパートから出て雪の降る中をスーパーへ酒の肴二品を買いに出掛けるが、レジ前で財布を忘れた事に気づく。絶望しながら朦朧と帰路を歩く内に滑って転び、おまけに横を走る一台の車が足をタイヤで潰して行った。友人も身寄りもない優也は激痛に襲われて「痛えよぉ、おっかぁ」と呻いていた。2020/12/10
HANA
52
実話怪談集。青森が舞台の話で、多用される方言が何とも味わい深い。ただ話の内容自体は青森に関係したものは少なく、昨今の実話怪談にあるような不思議な話が多いような印象。先に読んだ『恐怖箱怪談恐山』に青森特有、土着の怪談が多かった為、余計にそう感じるのかも。せっかくなので青森特有のものに密着したものが読みたかったかな。あと著者の文体独特の特徴が出ている話が多く、この辺は好悪が分かれるような気もする。「お引っ越し」の最後とか特にそれが気になって…。「夏」とか「へば」とか東北弁の効果を生かした話は味わい深かったが。2018/11/25
かおりんご
28
ホラー。短編集。実話だからか今ひとつなオチだったけれど、同じような体験をした私としてはドキッとした話もありました。時折挟まれる津軽弁がいい味出してます。2019/04/16
あたびー
25
もうひとつ高田公太さんの青森怪談を。身内のように親しくしている友人一家が弘前出身の人なので、津軽弁のところを音読してもらいたくなる( ╹▽╹ )2020/08/18
うさっち
17
津軽弁が味わい深くて好き。怖さ的にはそれほどでもないけれど「青森乃小怪 六編の一がリアルでゾッとした。2019/08/11