内容説明
死者が彷徨う来世までの漆黒の狭間―怪談は尽きず、手練れの書き手たちは黒木あるじの元に再び集った。我妻俊樹、小田イ輔、真白圭、神薫、つくね乱蔵、小原猛、百目鬼野干、冨士玉女、吉澤有貴の10名がすぐに読める49話の怪異譚を披露する。あっという間に、心が折れる恐怖の夜がそっと忍び寄り、あなたを包み込む。もうもとの日常には戻れない!大人気シリーズ第2弾。
目次
真白圭(あぶない;とりかえっ子 ほか)
小田イ輔(同一事案;諦めるしかない ほか)
神薫(ダンボールマン;赤は血の色 ほか)
我妻俊樹(ジュガ星人;水玉のバッグ ほか)
百目鬼野干(常連;酔い;いちげん)
吉澤有貴(わかばちゃん;木漏れ日 ほか)
冨士玉女(ひと目;少年の霊の話)
小原猛(掃除機の音;シニカジ ほか)
つくね乱蔵(最期の日曜大工;数珠操り ほか)
黒木あるじ(よびかける;さしのべる ほか)
著者等紹介
黒木あるじ[クロキアルジ]
『怪談実話震』で単著デビュー以降、精力的に執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
249
黒木あるじさん監修による実話怪談作家10人の猛者によるアンソロジーは流石にレベルが高い充実の一冊ですね。私好みの2編を紹介しますね。『大仏』我妻俊樹:漫画家の藤雄さんが会社員だった頃の話で、連日の残業で疲れて帰りの電車に揺られていると何処かの駅に停車しドアが開いた。大勢の人が降りたがこんなに人の降りる駅はない筈だと不思議だったがまだ終電まで時間があるから大丈夫だと判断して窓の外を見ると何か白い大きな物が見えた。ライトアップされた大仏のようなもので、まるで自分で自分の首を絞める人のような奇妙なポーズだった。2022/04/12
HANA
70
実話怪談集アンソロジー。このジャンルのアンソロジーは玉石混交が多いのだが、編者が編者だけに安心して読める。実話怪談というと大体の形式は出来上がってしまっているわけであるが、各人その中で独自色を出していてそこがまた面白い。文体だけで判別できるのが我妻俊樹で中でも「大仏」が格別。最後の言葉責めの嫌さったらもう。小原猛は沖縄怪談を堪能出来るし、つくね乱蔵は応報ものが目立って読んでいてすっとするし。編者の上手さが格別だなあ。実話怪談からだんだんと身の回りに迫ってきて。特色のある怪談をゆっくりと楽しめる一冊である。2017/01/24
澤水月
33
黒木あるじ編アンソロ、本当に駄作なし、目配りされてる感。中でも内田百閒的夢幻不条理の我妻俊樹の弁当屋、沖縄怪談の小原猛「タマガイ」素晴らしい。また題に工夫凝らされた黒木の作品は唸るしかない素晴らしさで順番も考え怖気を震わさせてくれる、聞き手の自分が地の文に現れ展開しだす展開は文芸の妙味。無茶しないでください…16年読み納めに最適だった2016/12/31
ラルル
31
黒木あるじ“監修”のアンソロジーという事で少し不安でしたがいやいやなかなか良かったです。小原猛さんの怪談は相変わらず沖縄らしさがあって良いですね。吉澤有貴さんという方はあまり知らないのですが言葉の選び方がよく読む実話怪談とは趣が違ってこれもまた良かったです。ハズレが怖いアンソロジーですが、今回は全体的にアタリだと思います2018/06/27
あたびー
30
恨みつらみで出てくる幽霊の話はもう飽きてしまったんだけど、つくね乱蔵さんの「無節の木」は壮絶だった。何代にも渡って大切に育てて来た節のない杉の木に、藁人形が打ち込まれ台無しに。それを嫁のせいだとして追い出した姑。嫁は壮絶な自死を遂げ。実は藁人形は……という芝居になりそうな話。ウルトラマンのエピソードに出てきそうな我妻俊樹さんの「ジュガ星人」にもホロりとさせられた。古典的な怪談かもしれないけど沖縄を舞台にしているものは大好き。小原猛さんの怪談はいくつ読んでも良いなー。2025/04/01