内容説明
「超」怖い話の加藤一が編著者を務める、年に一度のテーマ怪談アンソロジー。「超」怖い話からは、加藤一、久田樹生、渡部正和の3名。恐怖箱からは、雨宮淳司、鳥飼誠、神沼三平太、つくね乱蔵、鈴堂雲雀、高田公太、ねこや堂、戸神重明、三雲央の9名がエントリーした。今回のお題は「戦、軍、兵」に纏わる怖い話。武士に纏わる怪奇から、太平洋戦争に纏わる話まで、12人の兵による31話を収録!
著者等紹介
加藤一[カトウハジメ]
1967年静岡県生まれ。人気実話怪談シリーズ『「超」怖い話』四代目編著者として、冬版を担当。また新人発掘を目的とした実話怪談コンテスト「超‐1」を企画主宰、そこから生まれた新レーベル『恐怖箱』シリーズの箱詰め職人(編者)としても活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
145
実話怪談作家12名による「戦・軍・兵」をテーマとする怪談アンソロジー企画ですね。当然ながら重い内容にはなりますが、それでも現代に生きる作家らしく中には遊び心や可笑しみが感じられる作品もあるのが救いで良かったと思いますね。『約束』クニハルは若い時から右足に重度のリウマチを患っており、やがて杖を必要とする程に関節炎が悪化した為に徴兵検査は不合格となった。2度目の大戦の頃、友から酒の席で「俺が死んだら、必ずお前のところに化けて出てやるからな」と言われた彼は「おお、分かった、必ず出て来て俺の足をくすぐれ」と返す。2020/11/03
HANA
50
戦争に関する実話怪談集。正直戦争を題材にした怪談は苦手。一つは起きる怪異が、戦争という因を元にしている為どうしても因果物になりやすい為。もう一つは意識するしないに拘わらずイデオロギーの問題を多分に含む事になる為。イデオロギーが絡むとどうしても話の純粋性が失われるような気がして嫌いなんですよね、左右拘わらず。本書はやはりというかほとんどが太平洋戦争を題材にしていたので、この二つを含む話が極めて多かった。それに戦争それ自体の陰惨さにおんぶに抱っこされた話がほとんどだったので、読みながらさらに憂鬱になった。2015/02/07
ラルル
31
戦争をテーマにした実話怪談集。戦争を語り継ぐ上で、こうした方向からの話も大切なんじゃないかなと思います。怪談では無いけど母方の祖母からよく戦争の話は聞かされました。隣を共に走っていた友が次の瞬間弾けた話など。戦争を知らない世代に必要なのはより身近に、よりリアルに戦争を感じられる体験だと思います。本であれ映画であれ語りであれ。その人の心に響く事が大切。2016/09/09
かおりんご
24
ホラー。いくさにまつわる話を集めたもの。彼女を貶めようとした彼氏の話が恐ろしかった。理由はわからないけれど、そこまでしなきゃいけないものなの?普通に別れればよくない?逆に言うと、呪いたいほど憎かったのだろうけど。人間が一番恐ろしい。2021/01/30
澤水月
16
何と全て「戦争」。つくね乱蔵氏のがエグい。澁澤龍彦も書いていたが出征しない幼少年は割と楽しく過ごしていたなど稗史興味深い。大阪城公園、抑留の果て、ソラ。短いのもあれば妙に長い(分けるか整理すべきだったのでは)のも。沖縄戦、防空壕もののほか海外ものも。語り継ぐ意義あるので遂に戦後70年の来夏再び取り組んでもらえぬか。自分の伯父が七つボタンのモテモテ海軍だったと知ったのが葬儀の席で話聞いておきたかった2014/12/01