内容説明
東京の闇を描いた究極のピカレスク小説。
著者等紹介
草下シンヤ[クサカシンヤ]
1978年、静岡県出身。ドラッグや裏社会に関する著作を多数発表。漫画原作も手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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utinopoti27
133
衰退の一途を辿る暴力団に代わって、近年、日本の裏社会に台頭してきた半グレ集団。我々一般人にとって、事件報道等で時折耳にする以外、彼らの実態に触れる機会はほとんどないのが実情だろう。本書は日本の裏社会に造詣の深い作者が描く、ルポタージュの色彩が濃いノワール小説だ。まあ小説的な技法の巧拙はともかく、最大のウリは熱のこもった臨場感にある。加えて、組織内で頭角を現してゆく主人公に、根は気弱な青年を充てたことで、アングラな世界観と一般人の視点を融合させた構成も見逃せない。読み手の好奇心を大いに刺激してくれる作品。2021/03/07
えみ
50
良心の呵責に悩まされる事もなく起伏ない感情。悪に染まっていく過程を、撫でるように読まされたのは初めての感覚だった。始まりは些細なこと。就活の失敗と不運の重なり。そこから転がるように簡単に堕ちた悪の路。マネーロンダリング、詐欺、窃盗、抗争、ドラッグ。普通の青年だった彼が変わった理由は一歩間違えれば誰の身にも起き得る事だと思うと背筋も凍る。家族、友達、恋人、仲間、そして真っ当な未来を失って半グレ組織の一員となった真が手に入れたモノ。使いきれない金と腐った関係。そして冷めた目で見る汚い世の中。幸せって何だった?2020/11/23
竹園和明
36
ごく普通の人間が雰囲気に飲まれ悪の道に入り込んで行く流れの作品だが、これは実態に添った話と捉えて読むべき。世間を知らないワカゾーが、周りの空気に自ら歩み寄る形でその環境に馴染んでいく過程が恐ろしい。これも一種の洗脳なのだろう。ストーリーが流れて行くのみの作りで作品としての技巧的な面は高くはないが、企業の仮面を被った半グレ組織、連中の実態が具に描かれた作品だった。至極普通の青年・真は価値観さえも変えてしまう。使い切れない程の金を得て、彼は己の人生を納得して終えたのだろうか。 2021/03/20
hnzwd
30
半グレと言われるグループ周辺の闇を描いた一冊。自分の世界とは離れ過ぎて、映画でも観ているような気持ちでしたが、、地名とかはよく知ってる所だけに妙にリアルな感じもするのでした。2020/04/29
やな
20
話のテンポが良く、あっという間に読んでしもた。内容も興味深く面白かったがなんとも言えないむなしさが残った(・_・;2020/04/12