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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
54
西成のドヤに住み、肉体労働をしながら動物的に生きるうちに、「社会の役に立たない人間には存在価値がない」という人間的な考えがもたげる著者。その思いが脳裏を支配するとき、自死の可能性さえあることを本書は示す。2020/07/26
ma-bo
52
著者が実際に潜入したリアルさは感じたが、文章の端々に西成あいりん地区に住む人達を見下した書き方があり気になっていた。 ただあとがきに、この街にいる人間を見下していると言えばそうかもしれない。逆に私(著者)のような人間がこの街にいることが恐れ多い様な気もするのだとあり、適切な表現かどうかはわからないが腑に落ちた。2019/02/24
さとか
43
西成という、全国でもトップレベルの高犯罪率地域を、大学出たての著者が文字通り体当たりでリサーチ。飯屋と呼ばれるドヤに住み込み、得体の知れない男たちと底辺土工として働いたり、生活保護者が長期滞在するホテルで従業員になったり。。。周りの環境が、底辺に落ちた人間を這い上がらせないような悪循環を作り上げているんだなぁ。勿論、本人の資質もあると思うが、覚醒剤があれほど横行しているとなると、更生にはものすごいエネルギーが要りそう。何より、体当たりルポを作った著者に拍手したい👏女性では知りたくても知れない世界だから。2020/12/05
ま
42
何だろうこの、平易なのに確実に消耗させられる文章。読むのに時間がかかってしまった。著者が若いからか、実際潜入すれば仕方ないってことなのか、差別意識が隠し切れていない感じ。そしてそれはドヤ街で暮らす登場人物皆同じで、「自分だけはこいつらとは違う」「訳あって仕方なくここにいる」という意識が交差する。差別の始まりは自分カワイイなんだなってことがよく分かる。このあたりのことを著者は、「こういう体(てい)で生きているという設定」があり、相手も「あなたはそういう体なんですね」と受け取るのだと分析する。ごめんなさいよ。2022/06/24
鷺@みんさー
40
いやー、思った以上にヘヴィー。この地区に関する本は何冊も読んだことがあるので、大丈夫だろうとたかをくくっていたが…考えてみれば「西成にはホームレスや薬物中毒者がいて、ドカタやドヤは危険で不衛生」みたいなざっくりとした認識はあっても、実際に何がどう怖いのか、具体的に知ってるわけではなかった。いやはや、福祉や貧困問題の観点からではない、純粋に好奇心で書かれた本の恐ろしさよ。この本はもし自分が、突然西成でドカタをして暮らしたらどんな恐怖が待ってるか、を大変リアルに感じさせてくれる稀有な作品。面白かった。2022/06/27