内容説明
人権、猥褻、宗教、著作権、盗用疑惑、業界裏事情…作品が「消される」ことの背景には、時代相と切り離せない様々な事情があるということだ。いわくつきの封印作品60本超収録!作家・関係者のインタビューあり。
目次
第1章 1940→1969
第2章 1970→1979
第3章 1980→1989
第4章 1990→1999
第5章 2000→現在
第6章 証言
著者等紹介
赤田祐一[アカタユウイチ]
著述業・編集者。『Spectator』編集
ばるぼら[バルボラ]
ネットワーカー/古雑誌蒐集家/周辺文化研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寺
84
私の偏見だが、コンビニで売っている文庫本はつまらないイメージがある。雑学本か旬が過ぎたベストセラー。本書の様な封印作品ネタもコンビニ本で今や定番のものである。しかし本書は著者が違う。赤田祐一は『クイック・ジャパン』を作った名のある編集者であり、共著者のばるぼらは近頃よくその名を見る書き手である。装丁も良い。ファミマで開いてすっかり読みたくなった。面白かった。1940年の『のらくろ』から『さよなら絶望先生』までの封印漫画の近現代史。巻末の年表も圧巻である。封印理由は基本的に差別、盗作、猥褻、政治の4つ。2016/05/18
HANA
69
発禁になった漫画を紹介している一冊。戦前は検閲の是非を決めるのが軍部だったのに対して、戦後は良識とかそういったものが取って代わっている。何となくディストピア小説めいたものを感じるなあ。もっとも中にはトレースだとか盗作だとか、どうしようもないものもあるけれども。傑作中の傑作『アシュラ』が発禁になっていたり、手塚作品にも意外と多かったりと色々教えられることも多かったけど。『血だるま剣法』と『共産党五十年史』はむべなるかなという感じだけど。筒井康隆の「タブーの多い社会ほど原始的である」という言葉を思い出した。2016/08/29
ヒロミ
65
みっしり読み応えありました。伝説の発禁漫画「血だるま剣法」が載ってない〜と思っていたら巻末にインタビューが!しかし復刻版でもあの伏字なんでしょうか。註釈をつけるなどして伏字は無くしてほしいのですが…。様々な漫画家・原作者たちが表現の自由とのせめぎ合いの中で闘ってきたのだなあと胸が熱くなりました。おもしろい本でしたが読後なんだかマイナスのエネルギーにヤラれました。彩図社の本は以前読んだ日本赤軍の本もでしたがなんだかポイントガリガリ削られます。2016/05/25
detu
56
発禁の歴史。戦中は軍部、戦後は人権、宗教、著作権、猥褻、盗作などなど。戦時戦後もお上からの圧力は横暴なものが多いように思う。『図書館戦争』の通りだと思えた。私自身30才すぎからはあまり漫画を読まなくなったので新しい90年以降のものは知らないのが多かった。「のらくろ」「8マン」「ハレンチ学園」「アシュラ」などはへぇーと言う思いも。興味深いのは手塚治虫とジョージ秋山の対談。マンガの神様とマンガの異端児とでも言おうか。『悪書』と呼ばれるものは支配者側が決めるのだ、いつの時代も。言論表現の自由を奪われてはならない2016/07/16
すこにゃん
50
予想以上にディープな内容にいささか消化不良状態のまま後半はさっさと読み飛ばしてしまいました。その時代ごとに批判と自粛が繰り返されるなか、確かに気骨ある闘う作家達もいたのだと知りました。それにしてもキャンディキャンディの著作権をめぐる泥仕合は凄い。この不寛容な世の中で漫画を描くのも大変なんですね。2016/06/13
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