内容説明
文豪たちが描いた愛のかたち。谷崎潤一郎、川端康成、永井荷風、田山花袋、夢野久作、岡本かの子など11作品を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aquamarine
81
女郎蜘蛛を背負って女が変わる。あるいは畦道で、暗闇で、それと気づかず男を誘う。柔らかく頼りない存在であっても女はいつもしたたかで、男目線で話が進むからこそ、翻弄される男たちにニヤリとさせられる。耽美という言葉がぴったりの11編。色揚げの痛みを直接感じた谷崎潤一郎「刺青」最後の女視点に全てをさらわれた芥川龍之介「袈裟と盛遠」想像の斜め上の結末に息を止めた田山花袋「少女病」構成の巧みさも印象的な夢野久作「瓶詰地獄」文章から伝わる艶めかしさに圧倒される川端康成「片腕」が特に好き。いい時間を過ごせました。2018/11/16
しゅてふぁん
56
個性的な人物しか出てこない、11の短編集。「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。そして右腕を肩からはずすと、それを左手に持って私の膝においた。-から始まる、川端康成の『片腕』。着脱可能なのね…とツッコミどころ満載。江戸川乱歩の『人間椅子』はもちろん、坂口安吾『私は海をだきしめていたい』も良かった。一番のお気に入りは田山花袋の『少女病』。‘少女’の登場から面白かったが、何と言っても最後が!文豪が書いた耽美小説って面白い。読まず嫌いだった学生時代の自分に教えてあげたい。2019/10/30
けいこ
40
11人の文豪達による耽美小説短編集。谷崎潤一郎『刺青』刺青を纏った女の妖艶さ。芥川龍之介『袈裟と盛遠』こちらも女のしたたかさ。江戸川乱歩『人間椅子』してやられた感。室生犀星『お小姓児太郎』サディズムな世界。心と身体どちらが痛いのか。田山花袋『少女病』ロリ趣味の男の最後に唖然。夢野久作『瓶詰地獄』踏み込んではいけないような感覚に陥る。川端康成『片腕』これぞ究極のフェチ。その他も独特な世界観。どの作品も仮名遣いや漢字、言い回しも今と違い、味わい深く、行間からも美しい世界が漂う。とても贅沢な時間を過ごせました。2021/05/17
*maru*
39
11名の名だたる文豪たちによる耽美な世界。江戸川乱歩『人間椅子』、川端康成『片腕』のみ既読。ずっと読みたかった『刺青』に溜息。針の痛みに顔を歪め、疼きに堪えかね呻き声をあげるその姿の淫靡さよ。清吉の愉悦は読み手の心をも擽り、弄ぶ。したたかな女。淫らな微笑み。…ゾクゾクする。『人間椅子』『片腕』は何度読んでも、良い…。『袈裟と盛遠』『お小姓児太郎』『瓶詰地獄』も刺激的で甘美なひとときを味わえる。文豪、恐るべし。読友さんのおかげで、また至福の1冊に出逢えました。さあ皆さんも、こちら側へいらっしゃい。2019/02/18
ピロ麻呂
36
さすが文豪と呼ばれる方々の作品☆怪しい愛の形を堪能できます(^_^;)「人間椅子」は何度読んでも素晴らしい~ 2019/02/04