内容説明
1954(昭和29)年からわずか三年間、パ・リーグの一員として存在した「高橋ユニオンズ」。1957(昭和32)年に「大映スターズ(現:千葉ロッテマリーンズ)」に吸収合併され消滅した“幻の球団”にして、通算勝率わずか.344という“最弱球団”だ。本書は当時の球団関係者に取材を重ね、今まで顧みられることのなかったユニオンズの全史を明らかにしたものである。
目次
序章 穏やかな秋の昼下がりに―2010(平成22)年
第1章 奇跡の一年目―1954(昭和29)年
第2章 波乱の二年目―1955(昭和30)年
第3章 泥沼の三年目―1956(昭和31)年
第4章 夢幻の四年目―1957(昭和32)年
第5章 それぞれの、その後―
終章 突然の訃報―2011(平成23)年
著者等紹介
長谷川晶一[ハセガワショウイチ]
1970年5月13日生まれ、東京都出身。出版社勤務を経て2003年よりノンフィクション作家に転身。スポーツ、芸能をはじめ幅広いジャンルで取材、執筆を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ようはん
21
パリーグが8球団だった1954年から56年までの3シーズンにだけ存在していた球団・高橋(トンボ)ユニオンズの歴史。全盛期を過ぎたベテラン選手や他チームで実績の無い中堅若手、そして新人を主力とせざるを得ずに苦戦するのは楽天イーグルスの初期を思いだすが、一方でパリーグ上層部の都合によるチーム消滅時のやるせなさは近鉄バファローズの最期にもダブって見える。昭和30年代的なアバウトなエピソードも多いが、コーチがシーズン中に選挙活動して当選して辞めるとかは流石にこれはと思わざるを得ない。2022/07/08
イーダ
13
先日なくなった伯父のインタビュー記事があるとの事で購入。私財をなげうって球団を設立、当時のパ・リーグとしては、巨人や阪神のような救世主になって欲しかったのかもしれないが、他球団からの援助も無く、孤軍奮闘していく姿には悲壮感が漂う。それでも夢を追いかけていった男達の姿にはどこか羨ましいものを感じる。2016/04/15
みなみ
10
1954年から3年間だけ存在。創設4年目の開幕前に消滅した高橋ユニオンズ。パ・リーグの8球団構想で創設されたが、創設しただけで放置、ボロボロの成績でお客さんも入らず球団が消滅。パ・リーグのために私財を投じて球団を作ったのに振り回されただけだった高橋龍太郎が気の毒だ。最晩年のスタルヒンが所属していたり、プロ野球ニュースの佐々木信也が入団していたり、この本で知ったことがいくつもあった。スタルヒンも日本球界での扱いが悪くてかわいそう…あんな迫害されてたし、せめて野球界では敬愛され遇されればよかったのに。2020/10/17
Ikuto Nagura
9
高橋ユニオンズ誕生から解散までわずか三年の軌跡に、パリーグ草創期の困苦を思う。「弱いけどいいチーム」「青春そのもの」という選手やオーナー高橋龍太郎の思いが、ファンに伝わらなかったのは何とも残念。入場券販売数29枚って…。「(早くなくなってくれないかな、こんなチーム…)それが豊田の本心であり、この豊田に限らず、対戦相手から憐憫と同情のまなざしを向けられていたのが、高橋ユニオンズというチームだった」まあ、こんなこと言われる弱さじゃ仕方ない。それでもユニオンズが、私の愛するパリーグの礎のひとつなのは間違いない。2015/10/29
かみーゆ
8
佐々木信也のプロ野球ニュース観てたなあ。スゴい野球人生だったんですね。新人でベストナインに選ばれるような選手だったなんて知らんかった。元選手が「こんなにちゃんと話を聞いてもらったのは初めて」って言っててしんみりしてしまいました。高橋氏がサッカー殿堂に入ってて野球殿堂には入ってないっていうのがね。この本と秋山氏の本が契機になって、何かが動いたりすると素敵ですよね。2015/09/29