内容説明
戦前から平成まで、事件と事故から読み解く裏鉄道史。
目次
第1章 事件と事故の鉄道史(信楽高原鐵道列車衝突事故 ローカル線で起こった正面衝突事故;石勝線列車脱線事故 トンネル内で起こった列車火災;上尾事件と首都圏国電暴動事件 現代では考えられない乗客の暴動;107名もの死者を出した 未曾有の大惨事「福知山線脱線事故」;狙われた東京の地下鉄 同時多発テロ「地下鉄サリン事件」)
第2章 国鉄とJRの裏面史(下山事件 初代国鉄総裁は轢死体になった;弾丸列車の夢 東京発北京行の新幹線;分割民営化騒動記 朽ち果てた国鉄からJRへ)
第3章 金が動かした鉄道史(異彩を放つ堤康次郎の生涯 西武王国の家督;駅施設や土地買収をめぐる疑惑 新幹線の利権を手にしたのは誰か?;鉄道会社と企業買収 村上ファンドに買収された阪神電鉄)
著者等紹介
佐藤充[サトウミツル]
鉄道ライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
thee birdmen
37
社会のインフラとして利用する鉄道。安全であることは大前提で日々乗っている訳ですが、まあ人間が扱っている限り事故が起こらない訳もないということで。そんな当たり前のことに今更ながら気付かされる本です。特に福知山線脱線事故の詳細は昔のことと割り切るには難しい問題だなと思いますね。自分が生まれた頃の国鉄労組の腐りっぷりも初めて知る話で、正直呆れました。五月雨式に色々な話が出てきて、興味深い話もあれば、そうでもない話もありつつ、全体としては楽しかったです。これを入り口により深く掘り下げていくものいいかなと。2019/11/30
ist
10
信楽高原鉄道列車衝突事故、上尾事件、福知山線脱線事故、下山事件、地下鉄サリン事件、国鉄からJRの分裂騒動と、労組のスト問題、西武王国がおもしろかった。旧国鉄の態勢ひどすぎ。福知山線脱線事故は起こるべくして起こったのかもしれないな。懲罰が強い労働環境。2016/10/03
キミ兄
5
これは久々に面白い本。著者は元鉄道会社勤務らしいが、これだけ広いテーマをよく調べたものだ。信楽鉄道や福知山線の事故がこういうことで起きたとは知らなかった。「あの事故はこうして起きた」並みのインパクト。5年もかかったのがうなずける、濃い内容のノンフィクション。☆☆☆☆☆。2018/02/06
うたまる
3
世界一の鉄道技術を誇る日本の、事件と事故からなる裏鉄道史。全11エピソード中、鉄道事故については詳細な書物が出ているので、注目したのは労働運動だった。ヤミ手当・ヤミ日勤・ヤミ専従などあらゆる手段で不正利得を得ようとする組合員たち。改善しようとする管理職は吊るし上げで自殺にまで追い込んだ。クズ政党(共産・社会)やゲス新聞(朝日・毎日)の支援を受け調子に乗り、飲酒運転や転勤拒否など職場規律の崩壊も止まらない。その挙句の巨額債務超過と民営化。ツケは勿論国民が払う。左巻きの社会運動なんてみんな同じ。今の沖縄もね。2016/11/06
茎沢
3
私の二十歳の誕生日だったその日、福知山線の事故は起きた。これは忘れられない。1両目が怖いんだよね。1両目が一番景色がいいんだけど。通勤電車の1両目でこの本を読むのはなかなかスリリングだったのでオススメです。地下鉄で読むのもヒヤヒヤするかも。そんなブラックな鉄道史。2016/09/23