内容説明
10人の文豪が描く哀切に満ちたストーリーを集めました。哀しくも切ない小作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイマックス
73
図書館本。太宰治・新美南吉・有島武郎・横山利一・芥川龍之介・織田作之助・久生十蘭・宮沢賢治・森鴎外・菊池寛の10人の作家の短編集。◎読み終えるのに時間がかかりました。現代作品だと読みながら特殊な環境でなければイメージが湧き、小説世界に入り込めるのだけど、時代が違く風景が浮かんでこないとなかなか小説の世界に入れず、数行読んでは戻って読み返したりと。◎「眉山」・「蜜柑」・「よだかの星」・「高瀬舟」は読んだことあったけど、改めてゆっくり読めてよかった。◎現代とは、奉公とか裁判制度とか色々と違うから、(続く)2020/10/07
とろこ
61
良かった。太宰治、内美南吉、有島武郎、横光利一、芥川龍之介、織田作之助、久生十蘭、宮沢賢治、森鴎外、菊池寛、という、大御所たちが紡いだ短編集。「泣ける」というよりは、人間の弱さや醜さ、身勝手さを描きつつも、同時に、慈愛や義侠心、寛容の心も確かにある、ということを示す作品が多かった。「よだかの星」は、いつ読んでも悲しくなる。個人的には、「火事とポチ」「旅への誘い」「高瀬舟」「恩讐の彼方に」に感情を刺激された。2020/09/03
ピロ麻呂
45
太宰治、芥川龍之介、宮沢賢治、森鴎外…文豪たちが書いた名作集☆最近はライトな小説ばかり読んでたから、純文学は食わず嫌いしてたけど、いいものはいい!時代を超えて受け継がれていく作品の数々。短編だから読みやすく、あっという間に読めちゃいました(^^)2018/12/04
えっくん
35
★★★☆☆太宰治、新美南吉、森鴎外といった10人の文豪たちが書いた哀切の短編集です。病床で死にゆく妻を看取る夫や、昼夜働き続け過労で亡くなった姉を悼む妹など、肉親の死と向き合う主人公達の悲哀が伝わってきます。芥川龍之介「蜜柑」は幼い弟たちを残し奉公先に単身赴く娘の話ですが、こんな哀しい話が幾つもあったであろう当時の時代を感じます。一番のお気に入りは、菊池寛の「恩讐の彼方に」で主人を殺害した武士が罪滅ぼしのため、出家し絶壁の難所に道を堀り続ける話で、あまりに壮絶な生き方に身がつまされます。ラストは感動です。2017/08/01
じいじ
25
10人の文豪の短篇を収録したアンソロジー。30年昔に読んだ作品もあったが、さすがの名作で面白かった。太宰治『眉山』は、これぞ短篇の面白さ。有島武郎『火事とポチ』もよかった。子供目線で描かれて、情景描写がいい。「ポチは、妹と弟をのければ僕の一番好きな友達」少年の台詞がカワイイ。「北海道の春は、雪も消えないうちにセカセカとやって来る。」の書き出しの『葡萄蔓の束』久生十蘭がよかった。情景描写も人物描写も独特感があって気に入った。芥川『蜜柑』、横光利一『春は馬車に乗って』、等々すべて紹介するには字数が足りない。2014/12/10