内容説明
奇抜な理論とユートピア的な実践によって、一部の熱心な弟子たちをのぞいては同時代人に理解されず、後年、空想的社会主義者として学説史の端に置かれたシャルル・フーリエの思想は、20世紀後半になってその全容を現し始めた。壮大な歴史観のもとに、種々の造語、奇想天外なエピソードを交えて、理想の共同体の建設を唱える彼の著述は、労働、産業、経済、婚姻、家族、道徳をめぐって、現代社会を根底から覆すアイディアの宝庫であった。
目次
第1部 フーリエとは誰か(嗜好の洗練による「文明」から「調和」へのパッサージュ―奢侈をめぐるフーリエと経済学的知;アナロジー論と自然的平衡錘の理論―『産業の新世界』序文の一草稿の検討;アソシニーションの二つの(失われた)起源―フーリエとサン=シモン主義)
第2部 思想の諸相(フーリエの理想建築構想とその変貌;コンフィチュール/コンポートあるいは「調和世界」のパン―フーリエにおける子どもと食の問題;分人主義的結婚論の先駆者フーリエ―『愛の新世界』とヘーゲル『法の哲学』における遺産相続の問題;密謀、あるいは産業のとばくち―フーリエからだいぶ離れて)
第3部 フーリエはどう読まれたか(政治的なものの感覚的革命としてのファランステールの爆発的拡大について;情念の社会学としての神学―クロソウスキーにおけるフーリエ;シャルル・フーリエと物書き狂人―レーモン・クノーの視点から)
幕間 二一世紀におけるフーリエ研究の活力
第4部 フーリエをどう読むか(詩「未来はオーレンカのもの」をめぐって;シャルル・フーリエの情念を天然知能的計算に転回する;フーリエの未来の肉体としての反古墳―いや、墓とは?)
著者等紹介
福島知己[フクシマトモミ]
帝京大学准教授(社会思想史)
篠原洋治[シノハラヒロハル]
慶應義塾大学非常勤講師(社会思想史)
金山準[カネヤマジュン]
北海道大学大学院教授(社会思想史)
小澤京子[オザワキョウコ]
和洋女子大学教授(表象文化論)
橋本周子[ハシモトチカコ]
関西学院大学准教授(思想史)
藤田尚志[フジタヒサシ]
九州産業大学教授(フランス近現代思想)
森元庸介[モリモトヨウスケ]
東京大学大学院教授(フランス思想史)
ペリエ,フロラン[ペリエ,フロラン] [Perrier,Florent]
レンヌ第二大学准教授(美学・芸術理論)
大森晋輔[オオモリシンスケ]
東京藝術大学教授(フランス文学・思想)
塩塚秀一郎[シオツカシュウイチロウ]
東京大学大学院教授(フランス文学)
ブシェ,トマ[ブシェ,トマ] [Bouchet,Thomas]
ローザンヌ大学連携教授(一九世紀社会政治思想史)
阿部日奈子[アベヒナコ]
詩人
郡司ペギオ幸夫[グンジペギオユキオ]
早稲田大学教授、神戸大学名誉教授(生命理論)
中村恭子[ナカムラキョウコ]
日本画家、大阪大学中之島芸術センター准教授
清水雄大[シミズユウダイ]
獨協大学他非常勤講師(フランス哲学・思想)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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