内容説明
アービトラージに夢を託し、その終焉に自らの人生を重ねる金融トレーダーと人類学者との邂逅が生み出した最高峰のモノグラフ。
目次
金融人類学への序章
第1章 シェイクスピアのアービトラージ
第2章 アービトラージと投機のあいだ
第3章 学習の限界での取引
第4章 夢の経済
第5章 最後の夢
第6章 アービトラージから贈与へ
著者等紹介
宮崎広和[ミヤザキヒロカズ]
1967年、東京都に生まれる。人類学者。1998年、オーストラリア国立大学にて人類学博士号を取得。現在、ノースウエスタン大学教授
木村周平[キムラシュウヘイ]
東京大学大学院総合文化研究科博士課程中途退学。博士(学術)。現在、筑波大学准教授。専攻は、文化人類学、災害研究
深田淳太郎[フカダジュンタロウ]
一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。現在、三重大学准教授。専攻は、経済人類学
早川真悠[ハヤカワマユ]
大阪大学大学院人間科学研究科単位取得退学。博士(人間科学)。現在、国立民族学博物館学術資源研究開発センター外来研究員。専攻は、経済人類学
高野さやか[タカノサヤカ]
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、中央大学准教授。専攻は、法人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mori-ful
3
金融における「ユートピア的思考」。98年から2000年代までの、グローバル化に直面した日本の証券会社を舞台に、かれらの思考をフィールドワークや愛読書などから追う。岩井克人『ヴェニスの商人の資本論』の影響力が極めて大きいのに驚く。差異が利益の源泉という考えを彼らはアービトラージという金融業界の考えの枠で捉え直す。彼らはアービトラージはさまざまな局面に応用。すると差異を求める思考は同時に差異の消滅した終わりの局面への想像にも繋がる。ここにUFO学や資本主義の終わりといった思惟が忍び込む。面白かった。2024/12/30
かとたか
2
金融と人類学という、かなり縁遠いような2つの内容が、この上なく結びついている。これでもか!という程の定性的研究の塊。専門用語もあまり使わず、きっちり人文社会科学として成り立たせている。お手本にしたい。2024/06/24