内容説明
ドイツ美術のアイデンティティを希求することが排外主義と容易に結びつく世紀転換期のベルリンにおいて、いち早くフランス印象主義を評価し、パリに先駆けてその作品を収集した、一人の美術館人がいた―。普仏戦争と第一次世界大戦のはざまで、高まるナショナリズムや皇帝からの圧力、芸術アカデミーの保守主義に対し、精緻な美術史研究にもとづく鑑識眼と独自のネットワークを武器に闘い、新たなドイツ美術の礎を築いた“モダニズムの殉教者”の姿を力強く描き出す。
目次
第1章 ベルリン、ナショナル・ギャラリー館長就任まで
第2章 世紀転換期のベルリンとモダニズムの台頭(マックス・リーバーマンとベルリン分離派;ユリウス・マイアー=グレーフェと『近代美術発展史』 ほか)
第3章 ナショナル・ギャラリー―モダニズムとナショナリズムのはざまで(ナショナリズムの表象装置;チューディのモダニズム改革 ほか)
第4章 バイエルン州立絵画館―チューディが遺したもの(アルテ・ピナコテークの改革;「青騎士」への支援 ほか)
第5章 チューディのモダニズムと日本(ベルリンのジャポニズム;「刺繍屏風」と京都 ほか)
著者等紹介
仲間裕子[ナカマユウコ]
1953年生まれ。ベルリン自由大学美術史研究所への留学を経て大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。立命館大学名誉教授。専攻、西洋美術史、美学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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