内容説明
映画、この欲望と快楽のメディアを題材として取り上げるのみならず、媒体の特質、俳優の身体、興行形態、鑑賞行為といった構造的要素までをも小説へと移植した谷崎潤一郎。その強靭なる映画的思考/欲望は、いかにして“映画小説”の血肉となったのか。映画の富を小説においても展開し、みずからの文学に新生面を開くまでの作家の足跡を緻密にたどり、谷崎文学のさらなる深みを開削する。
目次
谷崎潤一郎と近代映画史
第1部 映画の潮流(“シネマニア”谷崎の誕生;「人面疽」の“純映画劇”的可能性―映画化計画をめぐって;「月の囁き」考―“映画的文体”を書く/読む)
第2部 映画製作と欲望の物語(「肉塊」と映画の存在論―水族館 人魚幻想、“見交わし”の惑溺;「青塚氏の話」のドラマツルギー―映画製作/受容をめぐる欲望のありか)
第3部 映画を夢む(「魔術師」、視覚のゆらめき―「半羊神」の狂乱;記憶のフィルムと羊皮紙―「アヱ゛・マリア」と映画語り;「盲人」の夢―「春琴抄」と映画哲学)
映画テクストの極北
著者等紹介
佐藤未央子[サトウミオコ]
1988年、仙台市に生まれる。同志社大学大学院文学研究科国文学専攻博士後期課程修了。博士(国文学)。現在、法政大学文学部日本文学科助教、早稲田大学総合人文科学研究センター招聘研究員。専攻、日本近代文学、映画学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 和書
- 蝶か蛾か