- ホーム
- > 和書
- > 文芸
- > 海外文学
- > その他ヨーロッパ文学
内容説明
フランコ政権下の一九六九年、左翼思想を持った大学院生で作家志望のミナヤは、二七年世代の幻の詩人、ハシント・ソラナの散逸した作品の調査を行い、博士論文にすることを思いつくのだが…。過去・現在・未来の物語が反射し合い、ひとつの殺人事件の真実が浮かびあがる、実験的推理小説。
著者等紹介
大河内健次[オオコウチケンジ]
1938年、福島県二本松市に生まれる。東京外国語大学イスパニア語科(国際専修)卒業。東京銀行に入行後、ブラッセル支店、ミラノ支店、マドリッド支店、ブラジル東京銀行などで勤務する。退職後は国際基督教大学高等学校でスペイン語を教える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
49
アントニオ・ムニョス・モリナ待望の邦訳、ということで楽しみにしていたのだが、これが中々の難敵だった。第一部から目線(意識)が頻繁に入れ替わり、時間軸もとても曖昧なので、何を・どこを・誰を読んでいるかを掴むのが非常に難しい。第二・第三部に進むにつれ、鏡のイメージを使ったアレゴリーに加えて、南米文学特有の入れ子構造も明らかになり、物語はいよいよ複雑怪奇な様相を呈する。文章は非常に読みにくく(翻訳者は他に訳書がないみたい…)、かなり酷い誤植も見られるので途中白けてしまった。正直読んだという実感があまりないかも。2021/12/01
迦陵頻之急
0
ストーリーと登場人物だけをとれば、ごく普通の小説として、晦渋な思いもせずに読める。曲者は文体。韻文的、暗喩的、主観的で、人称と時制が唐突に変化するため、読書中居場所を見失うことしきり。 訳者解説は、未知の作家の難物の作品のものとして非常に丁寧。内容案内はネタバレ級だが、無事に読了出来たのはこれのお陰。解説でも明らかだが、訳者の文体も相当癖が強い。まあ、原文を無理に平明にしてしまうよりはよいのかも。2023/02/23