内容説明
現代文学の端緒を開いたフローベール。同時代への徹底した不信から文学への信を鍛え上げた作家の彫心鏤骨の作品世界は、膨大な書簡や草稿とともに、常に現代作家を虜にし、文字批評・研究の試金石となってきた。同時代を鋭く見抜き、未来の読者を待望するフローベールへ、既成の作家像を超えて迫る19のアプローチ!生誕200年記念!
目次
第1部 フローベール文学の多層性(詩人の傲慢から芸術家の平静へ―初期作品と『聖アントワーヌの誘惑』の七つの大罪をめぐって;シャルルの変貌をめぐって―『ボヴァリー夫人』における愛と赦しとアイロニー;『ボヴァリー夫人』におけるルソーの影響―威光と愚かさのはざまで;『ボヴァリー夫人』における継続的反復と十九世紀初頭の思想;分有されたヴィジョン―『サラムボー』の描写について;『感情教育』と第二帝政;フィギュールとしての二月革命;民主主義のなかの小説家;フローベールの反目的論;『ブヴァールとペキュシェ』における教育施設の夢;補論 『純な心』のフェリシテとオバン夫人)
第2部 フローベールと十九世紀作家(仮借なき戦争の物語―ポリュビオス、ミシュレ、フローベールをめぐって;フローベールからバルザックへ―ジャーナリズムの問題を中心に;フローベールとユゴー―シンフォニーを求めて;フローベールとゴングール兄弟―第二帝政期の文壇生成をめぐって;フローベールを語る―一八八〇年代のモーパッサン;補論 『感情教育』とバルザック『現代史の裏面』)
第3部 フローベールと現代文学(バルトとブランショにおけるフローベール的エクリチュール―一九六〇年代以降の理論的言説のなかで;物語の彼方と手前―クノーとペレックにおけるフローベールの遺産;クンデラのフローベール)
著者等紹介
松澤和宏[マツザワカズヒロ]
1953年生まれ。パリ第八大学博士課程修了。名古屋大学名誉教授。専攻、近代フランス文学、言語思想史、生成批評
小倉孝誠[オグラコウセイ]
1956年生まれ。パリ第四大学博士課程修了。現在、慶応義塾大学教授。専攻、近代フランス文学・文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。