内容説明
異才の小説家・小島信夫の導きによって文学と生き方に目覚めた著者が、高度成長期の活況、小島との出会いと居候生活、小島文学誕生の舞台裏、みずからの文学修行と見えない世界への関心、そして「長男の出家」での芥川賞受賞にいたる“出来の悪い弟子”の道のりを豊かに語る。
目次
1 運命の出会い(話の発端(私の芥川賞授賞式における小島さんの一言)
アメリカ・アイオワ大学での出会いと当時の小島さん
帰国、小島さんと再会
小島家に下宿してから出るまで(小島さんの再婚、私の結婚)
出来の悪い弟子(1)―「自分を書く」ことに迷い、坐禅や心霊研究に走る
出来の悪い弟子(2)―小島文学の最盛期と私の芥川賞受賞)
2 小文(「自分」を書け;小島信夫の文体・覚え書―「アメリカン・スクール」から「返照」を経て;小島さん、済みませんでした;交霊会の小島さん)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Junko
9
文学研究会で話したことをまとめた本で、話し言葉が本になっています」と前書きに書いてあり、本を読み進めますと、三浦清宏先生の声が聞こえるような錯覚を覚えました。 小島信夫さんの話は何度もお聞きしていましたので、とても懐かしく読みました。 アメリカ文学史、小島信夫さんの作品論、人物論など、三浦先生が全身全霊で、本音で書かれた貴重な本です。 2021/10/26
カズくん
2
面白く読みました。たいへんマニアックな本で、普通のひとには興味のない話かもしれません。 僕は三浦清宏氏の本はすべて読んでいるので、たいへん興味深かったです。 なぜこの作家にはまったかというと、芥川賞をとった「長男の出家」やその他の小説もいいのですが、心霊研究の作品に衝撃をうけたのです。霊は存在するということを、まじめに研究している人たちがいるのです。出会ってませんが、僕も霊を信じています。2022/08/01
koba
2
芥川賞作家・三浦清宏氏が文学の師・小島信夫について講演形式で著した一冊。小島信夫の人となり、小説を書く視点、心霊研究などなかなか興味深い。芥川賞作「長男と出家」、心霊研究の書「イギリスの霧の中へ」を読んでみたい。2022/02/05
yoyogi kazuo
2
小島信夫に導かれて小説を書き始め、芥川賞を受賞した作家による興味深い回想と考察。他の本にはない視点で小島の発言や人となりが記されていて大変面白かった。著者がスピリチュアルにハマって小説をもう書かないと伝えた時に小島が言った言葉が印象深い。2022/01/30
のりえ
1
🔻小島信夫も三浦清宏も知らずに図書館で借りてしまった。まずは三浦清宏さんの『長男と出家』を読んでみようと思った。2022/02/23