内容説明
ディストピアに希望を探れ。文学という枠を越え出て、政治や社会のあり方、あるいは日常生活の襞にいたるまで、今やあらゆる領域へと越境し増殖を続ける『一九八四年』の世界。動物、ジェンダー、情動、“ポスト真実”やポピュリズムといった多様な観点からの精読や、受容史やアダプテーションなど関連作品の分析を通してこの文学的事件の真価を問う。今と未来を生き延びるための『一九八四年』読解。
目次
ジョージ・オーウェル―いくつかの個人的なつながり
「普通の人びと」への希望―『一九八四年』とポピュリズム
家父長制批判としての『一九八四年』?
抵抗についての注釈
『一九八四年』における愛と情動
鳥とネズミのあいだ―『一九八四年』における「人間らしさ」と動物たち
日本における『一九八四年』の初期受容
改竄される『一九八四年』―冷戦初期の映像三作品と原作、そしてオーディエンス
舞台化された『一九八四年』―三つの脚本
ポスト・トゥルースの時代のオーウェル―カクタニとローティによる読解
オーウェルからアトウッドへ―「フェミニスト・ディストピア」が描く未来への希望
著者等紹介
秦邦生[シンクニオ]
1976年生まれ。東京大学大学院准教授。イギリス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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