内容説明
すべての愚かさは、主体に関するある二重の機能不全と結びついた緊張関係にある。「私」が「自己」でないときにいつも、「私」は愚かであり、「私」が「自己」であることを信じているときにも、「私」は愚かである…バルトは知性の欠如を指摘されたのだろうか?バルトは悲劇の主人公のように、知の思い上がりの報いを受けたオイディプスのように、自らの傲慢の報いを受けたのだろうか?この問いに対する、可能な限り変化に富んだ解答を提示する。フランス文学史において古くから取り上げられてきた「愚かさ」というテーマをめぐり、政治や旅や文学、そしてテクストなどの多岐にわたる視点から、バルトにおける、バルトのいう、そしてバルト自身の「愚かさ」に迫る!
目次
第1章 「私自身の愚かさを探究すること」
第2章 ステレオタイプの愚かさ
第3章 「書かれた」身体の愚かさ
第4章 文学における愚かさ
第5章 政治における愚かさ
第6章 旅における愚かさ
著者等紹介
コスト,クロード[コスト,クロード] [Coste,Claude]
1957年生まれ。現在、セルジー=ポントワーズ大学教授。バルトのコレージュ・ド・フランスでの講義や高等実習研究院でのセミナーのためのノート類などの校訂に携わり、現代作家の草稿研究機関ITEMのバルト草稿研究グループの共同責任者をつとめている
桑田光平[クワダコウヘイ]
1974年生まれ。東京大学大学院博士課程満期退学。パリ第四大学文学博士。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻、フランス文学・芸術論
栗脇永翔[クリワキヒサト]
1988年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。専攻、フランス文学・思想
中村彩[ナカムラアヤ]
1987年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。現在、リヨン第二大学文学部博士課程在籍中。専攻、フランス文学・思想、フェミニズム(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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