出版社内容情報
フィンランド初の快挙! 北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵賞」に輝くシリーズ一作目が初登場! ロシアからの「帰国移民」ヴィクトルは、失踪した女の捜索を依頼されたのだが、事態は思わぬ方向へ──。
内容説明
ロシアからの“帰国移民”である“探偵”ヴィクトル・カルッパのもとに、失踪した妻を捜してほしい、という夫からの依頼が舞い込む。それは国境をまたいでめぐらされたある陰謀の、ほんの入口に過ぎなかった…。魅力的な新ヒーローを引っさげ、フィンランド初の快挙である「ガラスの鍵賞」に輝く大人気シリーズの一作目がついに登場!北欧ミステリに新たな旋風を巻き起こす衝撃の傑作!
著者等紹介
ロンカ,マッティ[ロンカ,マッティ] [R¨onk¨a,Matti]
1959年フィンランドの北カレリア地方に生まれる。フィンランド公共放送YLEのニュースキャスターとして活躍中。2002年に『殺人者の顔をした男』で文壇デビュー。以後ヴィクトル・カルッパを主人公とするシリーズを書き続け、国内外で好評を博している。2005年に刊行されたシリーズ第三作で、フィンランド・ミステリ協会から「推理の糸口賞」を贈られたほか、2007年には、北欧五か国のミステリが対象となる「ガラスの鍵賞」をフィンランドの作品として初めて受賞するという栄誉に浴した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
49
“探偵”ヴィクトルは古書店主アーネルから失踪した妻シリエを探してほしいと依頼される。が、この人探しは、フィンランドとロシアを跨ぐある陰謀へと繋がっていく。フィンランドのハードボイルド、それもノワール色も濃い小説、初めて読みました。フィンランドの歴史に不案内なのと人名や地名に馴染みもないため読むのに時間がかかりましたが、あっと驚く展開の終盤40ページは一気読み。ロシアからの帰国移民ヴィクトルもなかなか魅力的な“探偵”でした。2023/05/11
MATHILDA&LEON
21
フィンランドで生活する、孤独な探偵の物語。ロシアで生まれ育ったが、フィンランド国籍を持つ、という点で、どちらの国からも疎外される主人公の一種の物悲しさが、全体を通して漂っている。そして、生活する為の、怪しげな仕事も引き受けなければならない現実も、過去の思い出(トラウマ的感覚)も、1人で背負っている。舞台となった国には行ったことがないが、その空気感は存分に味わえるし、歴史を紐解くと、心に染み入ってくる独特の痛みを伴った冷たさの意味も深さを帯びるように思う。これは続編も是非読みたいところ。早く続きを読みたい!2020/02/23
みみずく
17
フィンランドとロシアの苦い歴史を体現しているヴィクトル。彼は帰国移民としてフィンランドに住み探偵として暮らしている。ある日失踪した妻の捜索を依頼されたことから複雑な事件に巻き込まれる。シリーズ作品第一作だからか、フィンランドやヴィクトルの置かれた状況が紹介されているといった感じだった。私の知る北欧ミステリの中ではコンパクトな作品。すっきり読めたのでまた第二作目が翻訳されたらいいな。2014/08/19
しゃお
13
フィンランドの血筋をもちロシアからの帰国移民である探偵が主人公。失踪した妻を捜して欲しいという依頼と共に、マフィアからの依頼やロシアの情報部からの指令などが重なるように舞い込み、慣れない北欧の名前などもあって特に前半はまとまりが無いような感じも。しかしながら後半に入り、特に思いも寄らぬ展開を見せる辺りはなかなか上手い。そして何より複雑でいながらも芯は純粋なものを持ち続ける主人公を、全てを肯定できなくとも理解し受け入れようとする者の存在や、離れて暮らす家族との描写が物語に彩りを加え、ラストも温かいものが。2014/07/14
うたかたの日々
10
フィンランドの歴史が垣間見えて楽しめる話でした。本国では続きがあるらしいので翻訳があるのなら読んでみたい。2017/05/01